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PubMedID 17643114 Journal Nat Cell Biol, 2007 Jul 22; [Epub ahead of print]
Title Cathepsin L activity controls adipogenesis and glucose tolerance.
Author Yang M, Zhang Y, ..., Clement K, Shi GP
順天堂大学医学部生化学第一講座  木南研    上野 隆     2007/07/26

カテプシンLとlipogenesis
リソソームの主要プロテアーゼであるカテプシンLについて驚きの発見を報告していますが、謎も多い論文です。
 前半ではin vitroのヒトとマウスの脂肪細胞分化系を用いて解析を行い、カテプシンL特異的阻害剤であるCLIK195存在下ではlipogenesisが強く抑制され、この阻害は分化の初期段階で最も大きな効果を持つと述べています。後半では、カテプシンL欠損マウスを使ったin vivoの実験結果が記述されており、1.カテプシンL欠損マウス(Ctsl-/-)は野生型に比べて小さく体脂肪が少ないこと、また、高脂肪食を与えるとさらにこの差が顕著になること、2.Ctsl-/-では食餌の条件に関わらずインスリン感受性は正常で、グルコース負荷試験でも野生マウスに対して血糖を低く保つ(glucose resistance)能力を保持していること、3.高脂肪食を与えた野生マウスでもCLIK195を投与するとグルコース負荷試験で血糖値上昇が低く抑えられること、が報告されています。また、これらの特性は、Ctsl-/-で筋肉のグルコース取り込み能が高いことがその理由として挙げられるとしています。

 カテプシンLによってプロセスあるいは分解される何かがlipogenesisと深く関わると考え、細胞外に分泌されるカテプシンLによって細胞外マトリックスのfibronectinが分解されずに残り、脂肪細胞への分化が阻害されることや、エンドサイトーシスでリソソームに取り込まれ、カテプシンLで分解されるはずのインスリン受容体やIGF-1受容体が蓄積し、結果的にこれらが形質膜上に留まる可能性を挙げていますが、いずれも証明ではありません。メカニズム解明には今後の進展を待つしかありません。
   
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Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局