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転写因子の分解による発生制御

写真:石井俊輔

理化学研究所 筑波研究所
石井分子遺伝学研究室 主任研究員
石井 俊輔

転写因子は生命現象の制御に関与する最も重要な因子の一つであり、その量はタンパク質分解などによって厳密に調節されている。本研究課題では細胞増殖・分化に関与する転写Mybと、形態形成に関与する転写因子ショウジョウバエCi(Cubitus interruptus)の2つの転写因子の分解制御に焦点を当て、研究する。私達は、Wntシグナルによってc-Mybタンパク質が分解されることを見出し、特異的シグナルによるc-Mybタンパク質の分解制御が造血系細胞の分化に重要な役割を果たすことを示した。一方、Ciは形態形成を制御するヘッジホグシグナル伝達経路上で機能する転写因子であり、多くのグループによって精力的に研究されている。私達はこれまでにDebraと名付けた因子がCiのユビキチン化を誘導し、その結果Ciが小胞を介してリソゾームに運搬され、分解されることを報告している。さらに最近ではRing finger構造を有する新規因子がCiに結合し、Ciのレベルを低下することを見出している。本研究では、E3リガーゼなどを同定し、Myb がWntシグナルによって分解される分子メカニズムを明らかにする。さらにWntシグナルによるc-Mybの分解が、造血系細胞分化のどの段階に関わっているかを明らかにする。またCiの活性が、どのようなタンパク質分解系によって調節されているかを明らかにする。

本研究課題に関連する代表的論文3報

  1. Morita Y, Kanei-Ishii C, Nomura T & Ishii S: TRAF7 sequesters c-Myb to the cytoplasm by stimulating its sumoylation. Mol. Biol. Cell 16, 5433-5444 (2005).
  2. Kanei-Ishii C, Ninomiya-Tsuji J, Tanikawa J, Nomura T, Ishitani T, Kishida S, Kokura K, Kurahashi T, Ichikawa-Iwata E, Kim Y, Matsumoto K & Ishii S: Wnt-1 signal induces phosphorylation and degradation of c-Myb protein via TAK1, HIPK2, and NLK. Genes Dev. 18, 816-829 (2004).
  3. Dai P, Akimaru H & Ishii S: A Hedgehog-responsive region in the Drosophila wing disc is defined by debra-mediated ubiquitination and lysosomal degradation of Ci. Dev. Cell 4, 917-928 (2003)

Web page

http://rtcweb.rtc.riken.jp/lab/mg/mg.html

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