PubMedID |
18316613 |
Journal |
Cancer Res, 2008 Mar 1;68(5);1485-94, |
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Title |
Blocked autophagy sensitizes resistant carcinoma cells to radiation therapy. |
Author |
Apel A, Herr I, ..., Rodemann HP, Mayer A |
筑波大学生命環境科学研究科 千葉智樹研 佐藤晃嗣 2008/05/02
細胞死とオートファジー
当研究室のジャーナルクラブにて紹介した論文です。
細胞死においてオートファジーは抑制するように機能しているのか、それとも促進するように機能しているかについては、どちらについても様々な報告がされていますが、この論文は抑制的に機能しているという報告になります。
筆者らは放射線感受性、非感受性のヒト癌細胞において、オートファジーをsiRNA(beclin1, atg3, atg4a, atg4b, atg5, atg12)で抑制した状態でγ放射線を照射し、癌細胞のコロニー形成能を比較しました。その結果、γ放射線照射後はオートファゴソームは減少し、放射線非感受性細胞は放射線感受性になりコロニー形成能が低下していた、ということです。
しかし、使用した癌細胞の種類やsiRNAする遺伝子の種類によってその抑制効果はまちまちで、一般化して何か言うには難しいというのが感想です。あくまで細胞死においてオートファジーが抑制的に(細胞の生存を助ける方向で)機能している一つのケースの紹介といったところです。また、もともと放射線感受性だった癌細胞に対してはsiRNAによって細胞死がわずかですが抑制されている点も、強調されてはいないもの重要な問題点だと思われます。