PubMedID |
17978089 |
Journal |
Mol Biol Cell, 2008 Jan;19(1);171-80, |
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Title |
Regulation of rtt107 recruitment to stalled DNA replication forks by the cullin rtt101 and the rtt109 acetyltransferase. |
Author |
Roberts TM, Zaidi IW, ..., Peter M, Brown GW |
名古屋大学 理学研究科 生命理学専攻 分子修飾制御学講座 嘉村巧研 山口 剛 2008/05/17
Esc4の染色体への局在はCul8、ならびにRtt109に依存する
Cul8(Rtt101)は出芽酵母にのみ存在するCullin型蛋白質であり、Rbx1と結合する。Cul8欠損株において、MMSやHUなどといったDNA損傷薬剤に対する感受性の増大がみられることから、Cul8がDNA複製や修復機構に関与していることが予想される。また、BRCTドメインをもつEsc4(Rtt107)、さらにはヒストンH3の56番目のリジンをアセチル化するアセチルトランスフェラーゼ、Rtt109の欠損株においても同様な表現形が観察され、加えてこれらの因子がCul8と遺伝学的に相互作用することから、Cul8、Esc4、Rtt109が同一経路で働くと考えられている。
今回の論文で筆者らは染色体に結合している蛋白質のみを免疫染色して観察する”Chromatin Spreads法”を用いることで、1. Esc4、Cul8がMMSなどのDNA損傷薬剤に応答して染色体に結合すること、2. Esc4の染色体への結合はCul8、Rtt109に依存していること、3. Cul8の染色体への結合はEsc4に依存していることを明らかにした。また、免疫沈降法によってDNA損傷薬剤非存在下においてCul8とEsc4が安定して結合していることが示された。
また、筆者らはEsc4の局在がMms1、Mms22には依存していないと言及している。一方、我々はCul8がMms1、Mms22を介してEsc4と結合することを見出しており、さらにMms1、Mms22とCul8との結合がEsc4とCul8との結合に対して比較的強いため、Mms1、Mms22がCul8複合体の基本構成因子ではないかと考えている。すなわちMms1、Mms22の役割について、我々の見解と一致しない。Cul8複合体の動態のさらなる詳細な解析が求められる。また、Cul8複合体が染色体上にリクルートされることが明らかになったものの、そこでの機能についてはまったく不明である。我々はCul8がユビキチンリガーゼ、すなわちE3として働いていると仮定して、Cul8の基質蛋白質の同定を糸口に、機能解析を試みている。