Proteolysis Forum
トップ

PubMedID 18354483 Journal Nature, 2008 Mar 20;452(7185);370-4,
Title SCFbeta-TRCP controls oncogenic transformation and neural differentiation through REST degradation.
Author Westbrook TF, Hu G, ..., Harper JW, Elledge SJ
北海道大学大学院医学研究科生化学講座   畠山鎮次研究室    渡部昌     2008/05/29

基質を出発点としてE3 ligaseを同定する
当研究室のJournal clubで勉強した論文について紹介させていただきます。
RESTはsilencerとして機能することが知られている分子ですが、
ごく最近ではES細胞の未分化性・自己複製能保持にも働いていることがわかっています。
本論文では、RESTのturn overが速いことを見出したことを出発点とし、
これがUbiquitin-proteasome系依存性に分解を受けていることを示した後に、
E3 ligaseの候補としてまずcullin based E3 ligaseを疑い、
Cullinのdominant negative formを用いてRESTが安定化するCullinとしてCul1を同定。
さらに直接の基質認識サブユニットであるF-boxタンパク質の同定には、蛍光タンパク質と融合させたmRFP-RESTの蛍光を指標に、
F-boxタンパク質に対するsiRNA libraryを用いてFACSにてsignalが増強するものを検出することでscreeningすることで行い、
最終的にbeta-TRCPを同定しています。

この論文は連報となっていまして、本論文では基質のRESTから出発しligaseとしてbeta-TRCPを同定しているのに対し、
もう一方ではbeta-TRCPの免疫沈降法+質量分析法を用いて基質のRESTを同定しています。

個人的に一般に基質を出発点としてligaseを同定する作業は難しいと考えていましたが、
E3 ligase specificなsiRNA/shRNA libraryという強力なtoolを利用することで難しくなくなっているように感じました。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局