PubMedID |
18171922 |
Journal |
J Neurosci, 2008 Jan 2;28(1);50-9, |
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Title |
Ubiquitin proteasome-mediated synaptic reorganization: a novel mechanism underlying rapid ischemic tolerance. |
Author |
Meller R, Thompson SJ, ..., Xiong ZG, Simon RP |
首都大学東京、理工学研究科、生命科学専攻 神経分子機能研究室 嶺岸 正治 2008/05/31
速い虚血耐性で起こる新しい機構について
この論文では速い虚血耐性が、ユビキチン-プロテアソームの関与で樹状突起内のアクチンの再編成が行われ、ポストシナプスの構造が変化し、起きる事を示している。以前から、速い虚血耐性に置いてユビキチン-プロテアソームの関与が知られている。この事から、筆者達は、速い虚血耐性に置いてタンパク質の分解が主要な制御機構であると考えて研究を行っている。速い虚血耐性を起したときのサンプルを用いてプロテオーム解析を行い、ポストシナプス肥厚に置けるユビキチン化タンパク質の同定を行っている。そして、以前の報告からポストシナプス肥厚でアクチンに関わるタンパク質が重要であると考え、この研究で同定されたアクチン結合タンパク質のmyristoylated alanine-rich C-kinase substrate (MARCKS)とfascinに注目している。これらのアクチン結合タンパク質の消失が、ポストシナプス肥厚に置いて、アクチンの再編成や樹状突起の一過性の収縮を促進することを示している。この速く可逆的なシナプスの再編成が、NMDAを介した電気生理学的な反応を縮小する。そして、神経細胞が、NMDA受容体を介した興奮毒性に対する抵抗性を示し、速い虚血耐性が行われている事を示している。
私自身はCdk5の活性化サブユニットであるp35の局在における分解について研究を行っている。p35は、ここで示されるMARCKS同様にミリストイル化を介し、細胞膜に局在するタンパク質である。MARCKSも局在により、分解に違いがある可能性があり、更なる詳しい分解機構について解析される事を期待したい。