PubMedID |
16597703 |
Journal |
Mol Biol Cell, 2006 Jun;17(6);2674-83, |
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Title |
Cytoplasmic lipid droplets are sites of convergence of proteasomal and autophagic degradation of apolipoprotein B. |
Author |
Ohsaki Y, Cheng J, ..., Tokumoto T, Fujimoto T |
京都大学農学部応用生命科学科 制御発酵学 阪井康能研 中屋 玲生 2007/01/15
Lipid Droplet (脂質滴、以下 LD) は脂質貯留の場として、特殊な細胞に存在することが知られていたが、現在では LD が細胞内にて普遍的に存在するオルガネラであることが判っており、LD の構造や役割についての研究が進められている。
本論文では、リポプロテインのひとつである VLDL を構成し、またリポプロテイン受容体との結合の際にリガンドとして働くApoB が、ユビキチン−プロテアソーム系やオートファジーによる分解をうける際に、まず LD へと集まることが示されている。ApoB 分解にはユビキチン−プロテアソーム系およびオートファジーの両分解系が共同で働き、LD は両分解系の出発点としての役目をもつ、そして両分解系は LD の周辺に存在することが示されている。二つの分解系が共同して働くことで、不要なタンパク質の凝集や蓄積を防ぎ、LD は不要なタンパク質の分解を安全に行ううえで重要な働きをしていると考えられる。
LD と両分解系との間での詳細な機構は明らかにされてはいないが、LD のタンパク質分解における積極的な役割とその機構を解明していくうえで、本論文が今後、糸口のひとつになることが期待される。