PubMedID |
18524774 |
Journal |
J Biol Chem, 2008 Jun 4; [Epub ahead of print] |
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Title |
Structural basis for sorting mechanism of p62 in selective autophagy. |
Author |
Ichimura Y, Kumanomidou T, ..., Tanaka K, Komatsu M |
順天堂大学医学部生化学第一講座 木南英紀研 一村義信 2008/07/02
p62の選択的オートファジー
最近発表された私たちの論文の紹介です。
マウスの遺伝学的研究から、オートファジーの不全により、ユビキチン陽性封入体の出現をともなった肝障害、神経変性疾患が観察されており、それは恒常的オートファジーによるp62の代謝調節の破綻が原因であることが示唆されていました(Komatsu et al. Cell (2007) 131:1149-1163)。私たち、およびPankivらは、p62がLC3と直接相互作用することを見出しており、p62はLC3との結合を介してオートファゴソームに取り込まれ、選択的に分解されるメカニズムが予想されました(Komatsu et al. Cell (2007) 131:1149-1163, Pankiv et al. J Biol Chem (2007) 282:24131-24145)。
今回の報告で、私たちはマウスp62の11アミノ酸(Ser-334–Ser-344)がLC3によって認識される配列(LC3-recognition sequence; LRS)であることを同定しました。LRSには保存された特徴あるアミノ酸としてDDDの酸性クラスターとWXXLの疎水性アミノ酸が存在します。LRS-LC3複合体の結晶構造解析の結果、LRSのDDD酸性クラスターがLC3のN末領域の塩基性アミノ酸と相互作用し、疎水性アミノ酸WとLが、LC3のC末ユビキチンフォールドの分子表面に構成された2つの疎水性ポケットと相互作用していることが明らかにされました。in vivo解析で、LRSの変異によりLC3と相互作用できないp62は細胞内に蓄積し、ユビキチン陽性の封入体を形成すること。さらに、p62のPB1ドメインを介したオリゴマー化が、封入体の形成を促す一方で、オートファジーで効率よく分解させるためにも必要であることがわかりました。今回の結果で強調すべき点は、p62のオートファジー分解を特異的に阻害するだけでユビキチン陽性の封入体が生じること、すなわち、“p62(おそらくユビキチン化タンパクと結合したp62)の選択的オートファジーの消失が細胞内封入体形成の原因となる”ことが証明されました。