PubMedID |
17200669 |
Journal |
Nat Genet, 2006 Dec 31; [Epub ahead of print] |
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Title |
A genome-wide association scan of nonsynonymous SNPs identifies a susceptibility variant for Crohn disease in ATG16L1. |
Author |
Hampe J, Franke A, ..., Krawczak M, Schreiber S |
東京医科歯科大学・医歯学総合研究科 細胞生理学分野 水島昇 2007/01/15
初のAtg関連疾患か?
Atg遺伝子と疾患とのリンクをはじめて示唆する論文。代表的な炎症性腸疾患であるクローン(Crohn)病に感受性を示すコーディングSNPが3つ同定された。二つはSLC22A4とCARD15というすでに関連が既知のものであったが、もうひとつはAtg16L1であった。変異はAtg16L1のほぼ中央で、感受性のSNPアリルではWDリピートドメインにはいってすぐのThr300がAlaに置換されている。解析によれば、ドイツの2集団と、イギリスの1集団でいずれも高い相関を示している(ドイツ群のオッズ比はヘテロで1.45、ホモで1.77。英群もほぼ同値)。感受性アリルをもつ頻度はCrohn病患者で60%だが、健常人でも53%。つまりこの変異をもてば確実に病気になるというものではない。類似の潰瘍性大腸炎ではこのSNPは無関係であえるためクローン病特異的といえる。感受性SNPをもっていても、腸粘膜でのAtg16Lの発現には特に差はない。Atg16Lの機能低下やドミネガが原因かも知れないが、メカニズムは不明。オートファジーを介したものかどうかさえも不明。ちなみに酵母Atg16にはこの変異部分を含むWDリピート自体が存在しないので、WDリピートの機能は全くわかっていない。論文ではオートファジーと細菌感染(クローン病では病因のひとつとして疑われている)との関係を議論しているがはたしてそうか??