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PubMedID 18567580 Journal J Biol Chem, 2008 Jun 19; [Epub ahead of print]
Title Ubiquitin ligase Smurf1 mediates TNF-induced systemic bone loss by promoting proteasomal degradation of BMP signaling proteins.
Author Guo R, Yamashita M, ..., Boyce BF, Xing L
名古屋市立大学大学院医学研究科 再生医学部門  澤本和延研    池田麻記子     2008/07/11

TNFで誘導される骨粗鬆症へのユビキチンリガーセSmurf1の関与
TNFで引き起こされる全身性骨塩低下におけるユビキチンリガーゼSmurf1(Smad Ubiquitin Regulatory Factor1)の機能を解析した論文を紹介します。
関節リウマチの患者さんには高頻度に骨粗鬆症が起こる事が臨床的にはよく知られています。その機序は、炎症刺激によるTNFなどのサイトカインの過産生と、それによって起こる破骨細胞の骨吸収促進や骨芽細胞の機能抑制ですが、分子レベルで制御機構は明らかにされていませんでした。
この論文で①TNF刺激でSmurf1が増加しBMPシグナリング蛋白Smad1のユビキチン化による分解を促進すること、②TNF導入マウスでSmurf1をノッックアウトすると骨塩、骨強度などの増加が見られること、③Smurf1は破骨細胞の機能には影響を与えず、骨芽細胞に作用していることが示されました。
骨の密度と強度が必ずしも相関しないということにも注目して機械的強度を圧縮強度、変形能力、骨折を起こすエネルギーにわけて解析を行っている点は臨床にも即していると感じました。
我々の研究室では成体脳神経新生での細胞増殖、分化、移動についての研究を行っていますが、TNFαとBMP-Smadシグナリングはともに成体脳におけるニューロン新生に関与することが最近報告されており、Smadのユビキチン化と分解に着目したこの論文は興味深いものでした。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局