Proteolysis Forum
トップ

PubMedID 18508924 Journal Mol Biol Cell, 2008 May 28; [Epub ahead of print]
Title Ubc4/5 and c-Cbl Continue to Ubiquitinate EGF Receptor after Internalization to Facilitate Polyubiquitination and Degradation.
Author Umebayashi K, Stenmark H, Yoshimori T
大阪大学・微生物病研究所(ジュネーブ大学・生化学)  吉森保研 (Howard Riezman Group)    梅林 恭平     2008/07/30

エンドサイトーシスもポリユビキチン
私たちの論文を紹介させて頂きます.

細胞膜タンパク質が「どこで」「どのように」ユビキチン化されるのか,EGF receptor (EGFR)とE3 c-Cblを用いて調べ,以下の結果を得ました.

1) EGFRのユビキチン化は細胞膜からearly endosomeまでずっと続く
2) それにつれてEGFRのポリユビキチン化が亢進する
3) EGFRのポリユビキチン化は,sorting proteinであるHrsとの結合,およびlysosomeでの分解効率を上げる
4) EGFRのユビキチン化を輸送途中で止めると,すぐに脱ユビキチン化を受けて分解されなくなる

Hrsのユビキチン結合ドメインの構造も,ポリユビキチンに好んで結合する可能性を示唆しています(Hirano et al., 2006).

細胞膜でユビキチン化されたタンパク質は,そのまま当たり前のようにエンドソームに運ばれると考えられていました.しかし,この論文の結果は「ずっとユビキチン化されていないとすぐに脱ユビキチン化されてしまう」ことを強く示唆しています.細胞膜からearly endosomeまでユビキチン化が続くのは,脱ユビキチン化と拮抗してポリユビキチン鎖を伸ばすのに必要であると考えています.

最後に,この論文ではc-CblのE2 partnerはこれまでに言われていたUbcH7ではなく,Ubc4/5であることを明らかにしました.UbcH7はc-Cbl RING fingerに結合することが示されていますが,EGFRのユビキチン化には関与していません.結合だけでE2-E3 pairを論じるのは危険であると感じました.この問題について,このフォーラムで貴重なご意見を頂きました.お礼を申し上げます.
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局