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PubMedID 18508918 Journal Mol Biol Cell, 2008 Aug;19(8);3290-8,
Title Atg8 Controls Phagophore Expansion during Autophagosome Formation.
Author Xie Z, Nair U, Klionsky DJ
基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門  大隅良典研    鈴木邦律     2008/08/19

PASの鼓動
 Atg8はオートファゴソーム(以下AP)の形成,その中でもAP形成の中間構造体であるPhagophore(隔離膜)の伸展に必要だと考えられていた.本論文ではGFP-Atg8の挙動を顕微鏡で観察することにより,その推測を実験的に裏付けた.Atg8の発現量が低下してもAPの形成頻度(窒素源飢餓1時間後の細胞のAP形成頻度は7分から10分に1個とのこと)は低下しないが,大きさは減少する.結果としてオートファジーの活性が低下する.これらの結果から,彼らは”Multistage model of autophagosome formation”を提示している.それは,AP形成が(1)PASの土台の形成,(2)Atg8がPASに到達,(3)phagophoreの伸展,これにはAtg8-PEのdeconjugationが必要,(4)Atg8がPASから細胞質へと戻される,(5)APが完成し,Atg8の一部がAP内部に閉じこめられる,という段階を踏んでいるというものである.

 データはきれいで,論理も明確です.GFP-Atg8の輝点は細胞内で動き回るので,本当に同一の輝点を追っていけるのか?という危惧はあるのですが,そこは顕微鏡のZ軸を振って,細胞全体の画像を得ることで回避しています.個人的には好きな論文ですが,PASをPhagophore assembly siteと記述するのはやはりやめて欲しいと思う.
   
   本文引用



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