PubMedID |
18701704 |
Journal |
Mol Biol Cell, 2008 Aug 13; [Epub ahead of print] |
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Title |
Piecemeal Microautophagy of the Nucleus Requires the Core Macroautophagy Genes. |
Author |
Krick R, Muehe Y, ..., Goldfarb DS, Thumm M |
基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 壁谷 幸子 2008/08/29
PMN に必要なATG 遺伝子
出芽酵母において、栄養飢餓で誘導される非選択的なバルクな分解 (macroautophagy) に加え、核の一部が液胞にダイレクトに食いちぎられる選択的な分解 Piecemeal microautophagy of the nucleus (PMN) が起こることが D. S. Goldfarb らにより報告されている。本論文は、PMN におけるATG 遺伝子の必要性について、全ATG 遺伝子欠損株を用いて調べたものである。その結果、PMN には、macroautophagy に必要な全てのATG 遺伝子とCvt 経路のような選択的経路に必要な一部のATG 遺伝子が必要であることが判明した。興味深いことに、これらの遺伝子欠損株においても、液胞の陥入およびblebは形成される。従って、PMN に必要な一連の Atg タンパク質は、液胞膜のピンチオフに関与していると考えられた。このプロセスに液胞-液胞の融合に関わる因子は必要なかった。
PMN の報告から数年、未だATG 遺伝子の関与について調べられていなかったことは意外であった。本報告の中で、GFP-Atg8 の局在を観ているが、macroautophagy, PMNのどちらに由来するのか明らかではない。是非、PMN におけるAtg8 の局在を免疫電顕観察して欲しいものである。今後、PMN に必須なAtg タンパク質と核タンパク質Nvj1 との相互作用など、生化学的な解析が進むことを期待する。