PubMedID | 18725538 | Journal | J Cell Biol, 2008 Aug 25;182(4);685-701, | |
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Title | Autophagosome formation from membrane compartments enriched in phosphatidylinositol 3-phosphate and dynamically connected to the endoplasmic reticulum. | |||
Author | Axe EL, Walker SA, ..., Griffiths G, Ktistakis NT |
オートファゴソーム (AP) 形成にPI(3)P が必要なことは知られているが、AP 形成過程における詳細な機能は明らかでない。本論文は、小胞体・ゴルジ体に局在する double FYVE domain-containing protein 1 (DFCP1) を蛍光標識し、(1)FYVE domain を介して小胞体上の PI(3)P に結合していること、(2)その局在は栄養飢餓培地に移すと30分以内にドットパターンを示し、(3) LC3 やAtg5 と共局在すること、を共焦点顕微鏡、全反射顕微鏡観察により示している。特に、DFCP1 が小胞体に寄り添うように局在し、その後リング状の構造(彼らは、Ω に構造が似ているので、オメガソームと名付けている)が観察され、最大の大きさになったところで、速やかに消失していくムービーは美しい。興味深いことに、LC3 で標識されるドットは、はじめオメガソーム内に取り込まれ、寄り添い、放出されるように観察される。彼らの結論は、小胞体の PI(3)P が AP 形成のごく初期の段階に重要であることを示した初めての例で、AP が小胞体膜から生じ、成熟するという、AP 成熟モデルを支持するものである。
AP 膜の起源は未だ謎であり、誰もが知りたいところである。従って、今回の報告は大きな反響を呼ぶだろう。しかし、これまで報告のある隔離膜の伸張における Atg5 の局在や LC3 のリング状の AP 膜局在との整合性がとれない。今回の報告は、隔離膜の極初期を観ているのか、Atg5, LC3 との共局在も50%程度である。まだ小胞体以外の場所から AP が形成される可能性も残されている。AP 膜の起源の謎はまだまだ続くようである。
1 | 東京医科歯科大学 細胞生理 水島昇 | 非常によいと思います | 2008/09/04 |
この論文は私もすごいと思いました。これまで普通のFYVEではオートファジー関連構造体を染められなかったのですが、このような特殊なFYVEやER結合型FYVEで染められるというのは納得です。オートファジーに必要なPI3Kの働きが一気に見えてきたような気がします。データが美しいと気持ちよいです。
細かく言えば、ERとオメガソームとオートファゴソームの間に直接の膜の連続性があるかどうかは不明だと思います(ERとオメガソームはつながっていてもよいような印象を持ちました)。ですので、成熟説とde novo形成説のどちらの要素も含んでいるようなモデルかも知れません。 |
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2 | 東京医科歯科大学、細胞生理学分野 水島研 板倉英祐 | 酵母では | 2008/09/05 |
著者達のディスカッションによるとDFCP1の酵母ホモログはないことから、オメガソームがなくても別の経路でAPを作ることができるだろうと結論しています。
ですが、ERに局在してfyveドメインを持っていればオメガソームに局在できることから、酵母でもERに局在してfyveドメインを持っているタンパク質が存在するのであれば、何らかの関係があるとも思えます。 例えば酵母でも人工的にERに局在するドメインとfyveドメインを結合させたタンパク質を発現させたときに、それがPASの近くに局在したら、興味深いなと思います。 |
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