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PubMedID 18768752 Journal Mol Biol Cell, 2008 Sep 3; [Epub ahead of print]
Title An Atg4B Mutant Hampers the Lipidation of LC3 Paralogues and Causes Defects in Autophagosome Closure.
Author Fujita N, Hayashi M, ..., Noda T, Yoshimori T
大阪大学、微生物病研究所、細胞制御分野  吉森研    藤田尚信     2008/09/29

LC3パラログの機能
先日受理された私たちの論文を紹介させて頂きます。

オートファゴソーム形成に関わる分子LC3(酵母Atg8の哺乳類ホモログ)はオートファゴソームのマーカーとして広く用いられていますが、in vivoでの機能は十分に検討されていませんでした。特に哺乳動物ではLC3のパラログが複数存在する事がLC3の機能解析の大きな障壁となっています。今回私たちは、活性を欠いたAtg4B(LC3のプロセッシングプロテアーゼ)を細胞に過剰発現させるとLC3パラログ(以降LC3と呼ばせて頂きます)の脂質修飾が強く阻害されることを見いだし、この現象の解析より以下の結果を得ました。

1)過剰なAtg4B変異体はLC3-Iに強固に結合してLC3の脂質修飾を阻害する。
2)Atg4B変異体を発現させた細胞では、隔離膜のマーカーであるAtg5陽性の膜構造体が蓄積されている。
3)Atg4B変異体の発現によりオートファジックメンブレンの伸張には大きな影響は見られないが、コントロールの細胞に比べてAtg4B変異体を発現させた細胞では一部分が開いたオートファジックメンブレンの割合が高い。

上記の結果から、LC3は少なくともオートファゴソームが閉じる段階に関わっていると考えています。今回の解析では最終的な表現形を見ているので、LC3が隔離膜の伸張に関わっているかどうか十分に議論できていませんが、哺乳動物細胞のLC3は隔離膜の形成に必須ではないのかもしれません。この点について今後詳細に検討して行きたいと思っています。
また、Atg4B変異体による阻害効果はオートファゴソーム形成の分子メカニズムの解析に役立つと共に、細胞種を問わないオートファジーの阻害方法として様々な研究に応用可能だと考えています。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局