PubMedID |
18829864 |
Journal |
Mol Biol Cell, 2008 Oct 1; [Epub ahead of print] |
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Title |
Self-Interaction Is Critical for Atg9 Transport and Function at the Phagophore Assembly Site during Autophagy. |
Author |
He C, Baba M, Cao Y, Klionsky DJ |
基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 壁谷 幸子 2008/10/06
膜タンパク質 Atg9 の機能
Atg9 は膜タンパク質であり、オートファゴソーム形成には重要な働きをしていると考えられている。しかし、その詳細な機能は分かっていない。今回の報告では、Atg9 の self assembly が pre-autophagosomal structure (PAS) 局在に重要で、かつ、phagophore(初期の隔離膜)伸張に重要な働きをしていることを示している。この論文のポイントは、以下の2点だと思います。
一点は、最近彼らが報告した MKO strain を用い、他の Atg の関与なしに Atg9 の機能を解析している点である。MKO strain は、24 の ATG 遺伝子を破壊した株で、必要最小限の Atg タンパク質を発現させ、in vivo で再構築することによりオートファゴソーム形成過程を dissection することができる(JCB, 2008, 182, 703-13)。本報告でも、この株を利用することで、Atg9-Atg9 相互作用が他のAtg タンパク質に依存しないこと、相互作用できない変異体では自身の PAS 局在に defect はあるものの、Atg2, Atg18, Atg14 の PAS 局在には影響がないことを示している。
二点目は、Atg9 が Ape1 によって形成される Cvt complex 近傍の膜構造に局在していることを捉えている点である。これが、phagophore である確固たる証拠はないが、少なくとも Atg9 と Atg8, Ape1 の共局在はそれを示唆している。
相互作用不能変異体の表現型が富栄養条件下と飢餓条件下で異なる点については議論しておらず、Cvt pathway とオートファジーで異なる大きさの膜構造物を形成するための Atg9 の膜タンパク質としての機能の違いは、未だ不明である。今後 phagophore の伸張過程をモニターするような解析により、オートファゴソーム形成における Atg9 の膜タンパク質としての機能が明らかになっていくことを期待したい。
最後に、我々(私だけかもしれません)は、PAS とは、pre-autophagosomal structure の略だと思っていることを付け加えます。