PubMedID |
18936157 |
Journal |
Mol Cell Biol, 2008 Oct 20; [Epub ahead of print] |
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Title |
Kinase-inactivated ULK proteins inhibit autophagy via their conserved C-terminal domain using an Atg13-independent mechanism. |
Author |
Chan EY, Longatti A, McKnight NC, Tooze SA |
基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門 大隅良典研 壁谷 幸子 2008/11/05
哺乳動物 Atg13 の同定と ULK1/2 との関係
酵母 Atg1 のキナーゼ活性は正常なオートファゴソーム形成に必要で、その活性には Atg13, Atg17 が必要である (Kamada et al., 2000)。最近、哺乳動物における Atg17 の機能ホモログ FIP200 が同定されたが (Hara et al., 2007)、Atg13 のホモログは見つかっていなかった。本論文では、PSI-BRAST により哺乳動物 Atg13 を同定し、Atg1 の哺乳動物ホモログ ULK1/2 との機能関連を報告している。
本論文では、ULK1/2 の C 末領域に着目した解析を通じ、C 末が N 末のキナーゼドメインに作用し自己リン酸化、キナーゼ活性に重要であることを示し、ULK1/2 のキナーゼ活性の上昇に伴う構造変化を提示している。また、Atg13 が ULK1/2 によりリン酸化され、ULK1/2 の C 末に結合するにもかかわらず、結合はキナーゼ活性に依存しない結果から、彼らは Atg13 以外の ULK1/2 複合体の構成タンパク質 (X, Y) の存在を提示している。
彼らの結果は、酵母 Atg1 の C 末の構造変化とキナーゼ活性の関係を示した報告 (Abeliovich H. et al., 2003) と一致する一方、飢餓依存的な酵母 Atg13 の脱リン酸化や Atg1-Atg13 の結合 (Kamada et al., 2000) がみられないなど、酵母と異なる点も多い。今後、タンパク質 X, Y を明らかにした上で、ULK1/2 複合体機能のさらなる解析を期待したい。
それにしても、重要なデータ( Atg13 のリン酸化の確認、飢餓に応答するリン酸化の変化、Atg13 の細胞内局在など)が不十分のように思いました。