PubMedID |
18948957 |
Journal |
Nature, 2008 Oct 23;455(7216);1134-7, |
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Title |
Control of plant germline proliferation by SCF(FBL17) degradation of cell cycle inhibitors. |
Author |
Kim HJ, Oh SA, ..., Twell D, Nam HG |
名古屋大学大学院 理学研究科 附属臨海実験所 澤田均研 横田直人 2008/11/05
植物配偶子形成におけるユビキチン化酵素
CDKによって細胞周期が制御されているのは周知のことであるように,植物の雄性生殖細胞の分裂ははCDKA;1によって制御されていることが知られている.cdka;1の突然変異体は雄の生殖細胞特異的に細胞増殖の停止を引き起こす.本論分ではこの細胞特異的な制御に複合体型ユビキチン化酵素(SCF)が関与していることを報告している
著者らはFBL17(F-BOX-LIKE17:F-BOXとLRRsをもつ)に着目して研究を進めている.このFBL17というタンパク質の変異体の表現系は,CDKA;1と同じであり(S期が不完全な状態になる点や,germlineのマーカータンパク質は発現する点など),この変異体はFBL17を含むDNA断片を導入することで表現系を回復することから,FBL17が精細胞の分裂に関与していることが明らかになった.FBL17とASK1(skp1のホモログ)と相互作用することをY2Hで示し,続いてGFP-ASK1を用いて植物の細胞抽出液でpul-downを行い,Cullin1とGFP-ASK1,FBL17が複合体を形成していることを明らかにした.CDKA;1と相互作用するCKIとしてシロイヌナズナではKRPというタンパク質が知られており,これらのうちKRP6,KRP7がFBL17と相互作用する相手として同定された(KRP4も相互作用するFBL17と発現パターンが異なるので除外).KRP6,KRP7はin vitroの実験でプロテアソーム依存的に分解されることもMG132を用いた分解の阻害実験で同時に示している.FBLのmRNAは配偶子形成の間存在し続けるが.発現量のピークはbicellular pollenのときである.タンパク質の発現をGFP-FBL17を用いて追跡すると,Bicellularの中期に精細胞の核に蓄積し,二つの精細胞になる前に速やかに分解されることがわかり,精細胞においてGFP-KRP6,GFP-KRP7ともにFBL17と同じように一過的な核への局在性を示した.Bicellular時期の生殖細胞ではないvegitative cellではFBL17は発現せず,KRP6, KRP7も分解されずに核にしばらく存在することが明らかになった.この違いが,精細胞は分裂し,vegitative cell(non-germ cell)は分裂しないという違いを生みだしていると考えられる.
どうしてもpull downの実験などが融合タンパク質を用いた強制発現下での行っているので,endogenousな条件で示すことが重要ではないかと感じました.最近植物の受精や配偶子形成においてユビキチン化,脱ユビキチン化が関与しているという論文がよく出されています.動物でも負けないような研究を進めていきたいと思っています.