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PubMedID 19020622 Journal Nature, 2008 Nov 20;456(7220);404-408,
Title Concerted multi-pronged attack by calpastatin to occlude the catalytic cleft of heterodimeric calpains.
Author Moldoveanu T, Gehring K, Green DR
東京都臨床医学総合研究所  カルパインプロジェクト    反町洋之     2008/11/25

悲しみのカルパイン活性型立体構造
活性型m-カルパインとカルパスタチン(CSTN、カルパインの内在性の特異的阻害蛋白質)の複合体の立体構造についての論文です。競合者でもあるカナダのグループからの論文でありなかなか読むのが辛かったのですが、内容は重要ですので要点を説明します。
本構造は2007年7月のカルパインに関するFASEBサマーカンファレンスで、同グループから発表され、全員の度肝を抜きました。それから1年半弱経ちましたが、Natureにback-to-backで再びビックリです。
不活性(Ca2+フリー)型から活性(Ca2+結合)型へのカルパインの構造変化は、大まかにはこれまでの予想通りでした。即ち、各ドメインの構造はほとんど変わらず、離れていたプロテアーゼドメインの2つのサブドメインが融合する、というものです。全体に活性化にともない少し縮こまります(半径32Å→31Å)。
CSTNの結合様式も予想通りで、CSTNの3つの領域A, B, Cが各々、調節サブユニットのPEFドメイン、活性サブユニットのプロテアーゼドメイン〜C2様ドメイン及びPEFドメインに結合します。驚くべきは、活性中心とコンタクトする部分で、基質のようにS2にLeu612、S1’ 〜S3’ にT618-I-P620が綺麗にはまっていますが、Leu612の次にあるGly613のために、G613-E-R-D-D617がS1から逃れてループアウトしているため、カルパインはこれ切断できず猿グツワ状態になるのです。実際、Gly613を変異したり、このループを短くしたりすると阻害活性が弱まります。
では、p94/カルパイン3(→全くCSTNでは阻害されず基質としてしまう)ではどうなっているか、が大変興味深い点です。また、いくつかの理由から彼らはこの構造がカルパインの活性化型の構造であると主張していますが、CSTNによってこのような構造にされている、という可能性もゼロではありません。これらに明確な答を与えるのはやはりp94の立体構造しかありませんね。
   
   本文引用

1 理化学研究所BSI  神経蛋白制御研究チーム  西道 隆臣 初めて投稿します。 2008/11/30
Proteolysis Forumへの投稿はsimple & impressiveなものの方が食いつきがよいと思います。(論文と同じですね。)このフォーラムへの投稿は、反町先生ぐらいの長さに収めていただいた方が、読もうという意欲がくじかれないでしょう。

さて、カルパインの3次構造決定ですが、特異的阻害剤の分子薬理学的開発・探索へとつながるか否かによってその価値が決まるだろうと私は思います。
      
   本文引用


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