PubMedID |
18997778 |
Journal |
Nat Struct Mol Biol, 2008 Nov 9; [Epub ahead of print] |
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Title |
Structure of the Shigella T3SS effector IpaH defines a new class of E3 ubiquitin ligases. |
Author |
Singer AU, Rohde JR, ..., Parsot C, Savchenko A |
名古屋大学大学院工学研究科 水島恒裕グループ 高木賢治 2008/12/03
既知のE3ユビキチンリガーゼには分類されない、新規E3の構造決定
これまでに知られている、RING、U-Box、HECTには分類されない新たなE3ユビキチンリガーゼの結晶構造が決定されました。
IpaHタンパクはグラム陰性菌Shigella flexneri(赤痢菌)の感染において、?型分泌装置によって宿主細胞に運ばれエフェクターとして働くE3ユビキチンリガーゼであり、これらの病原性細菌においてユビキチン経路は共通のターゲットとなります。
これまでに報告されているE3ユビキチンリガーゼは2つのクラスに大別できました。一つはRING及びU-Boxドメインを持つE3であり、これらはE2と基質を近接させ、基質のユビキチン化を促進します。もう一つは、HECTドメインを持つE3で、基質ユビキチン化以前にユビキチンのアクセプターとして働くシステイン残基を持ちます。ここではN末が基質結合、C末が触媒活性を担います。
IpaH(9つのホモログが存在)は2つのドメインを持ち、触媒システインをC末ドメインに持つことからHECT型E3が連想されますが、配列相同性が低いことから、どちらに分類されるかわかっていませんでした。
今回の報告では、IpaHのC末端ドメインの結晶構造が明らかにされ、IpaHが既知のE3ユビキチンリガーゼには分類されない、新規なE3ユビキチンリガーゼであることが示されました。(同内容の報告が、同じ月のNSMBにもう一報掲載されています。)
この発見は、E3ユビキチンリガーゼの多様性の起源はどこにあるのか、さらには細菌、真核生物のゲノムには他にも知られていないE3があるのではないかという新たな疑問を提起するため重要であると考えられます。