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PubMedID 16424905 Journal EMBO J, 2006 Feb 8;25(3);554-64,
Title A novel ubiquitin-binding protein ZNF216 functioning in muscle atrophy.
Author Hishiya A, Iemura S, ..., Ikeda K, Watanabe K
東京都臨床医学総合研究所カルパインPT  反町洋之研    小山 傑     2007/01/25

 筋タンパク質の分解には、カルパインなどによる筋原線維の切断やユビキチン-プロテアソームの働きが重要である。特に、異化的な条件下では、”atrogene”と呼ばれる遺伝子群(主にユビキチンリガーゼMURF1やatrogin1/MAFbx)の発現量増加により筋タンパク質分解が昂進し、筋萎縮が引き起こされると考えられている。
 本論文により、主に骨格筋および脳で発現しているzinc-fingerタンパク質、ZNF216が新たに”atrogene”に加えられた。筆者らは、ZNF216がポリユビキチン鎖およびプロテアソームに対する結合能を有すること、その発現量が筋萎縮時に増大(MURF1やatrogin1同様、FOXOの制御を受ける)すること、ノックアウトマウスでは筋萎縮誘導時にユビキチン化タンパク質が蓄積し、筋萎縮に対して耐性を示すことを報告している。このことから、ZNF216はユビキチン化タンパク質のプロテアソームへの仲介分子として機能し、筋萎縮時に重要な役割を果たしていると推測されている。
 筋萎縮時に、ユビキチンの付加だけでなく、ユビキチン化タンパク質の認識段階も同等の制御を受け、中心的な役割を果たしていることが興味深い。また、ZNF216が筋萎縮という特定の条件下で極めて重要な働きを持つことから、ZNF216によるユビキチン化タンパク質の認識における選択性についても関心が持たれる。ZNF216の発現制御機構、あるいは仲介分子として機能するうえでの分子機構などについて、更なる解析が待たれる。
   
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Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局