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PubMedID 19136968 Journal Nat Cell Biol, 2009 Feb;11(2);123-32,
Title Involvement of linear polyubiquitylation of NEMO in NF-kappaB activation.
Author Tokunaga F, Sakata S, ..., Tanaka K, Iwai K
大阪大学大学院医学系研究科医化学教室  岩井一宏研    徳永文稔     2009/02/09

NEMOの直鎖状ポリユビキチン化修飾を介したNF-κB活性化の発見
ユビキチン修飾は、標的タンパク質へ付加されたポリユビキチン鎖の結合様式によって異なる生理機能発現を導き、Lys48結合型ポリユビキチン鎖はプロテアソーム質分解のシグナルとなるが、Lys63型ポリユビキチン鎖はDNA修復やNF-κBシグナル伝達に機能することが知られる。NF-κBは種々の刺激によって活性化される転写因子であり、免疫応答、炎症、細胞接着、抗アポトーシス作用などの多彩な生理作用を発揮する。最近、審良らによりLys63型ポリユビキチン鎖生成に重要なE2であるUbc13をノックアウトしたマウスでは意外なことにNF-κB活性化に大きな影響を与えないことが示され、NF-κB活性化にLys63型ポリユビキチン鎖を介さない別経路の存在が示唆されていた。
 従来知られていたポリユビキチン鎖は全てLysのε-アミノ基を介した分岐鎖状であるのに対し、我々はHOIL-1LとHOIPからなるLUBACユビキチンリガーゼ複合体がユビキチンのN末端α-アミノ基を介した新規直鎖状ポリユビキチン鎖を選択的に生成することを報告し(EMBO J. 25, 4877, 2006)、その役割の研究を進めていた。その結果、細胞が炎症性サイトカインなどで刺激を受けたあと、LUBACはNEMOと呼ばれるIκBキナーゼの制御タンパク質と選択的に結合して、NEMO に直鎖状ポリユビキチンを付加することでNF-κBの活性化に導くことを明らかにした。LUBACによるNF-κB活性化はUbc13非依存性であり、直鎖状ポリユビキチン鎖を生成するユビキチンリガーゼ複合体の構成因子の1つであるHOIL-1Lを欠損しているマウス由来の肝細胞では炎症サイトカイン依存的なNF-κBの活性化が著しく減弱することを示した。
 これらの結果は、NF-κBの活性化経路ではLys63型ポリユビキチン鎖以外に、直鎖状ポリユビキチン鎖形成が関与する経路の存在を示している。さらにごく最近、NEMOのユビキチン結合部位の構造解析の結果、NEMOは直鎖状ポリユビキチンに対してLys63型ポリユビキチンより約100倍親和性が高いことが示され、NEMOは構造的にも直鎖状ポリユビキチン鎖を足場としてNF-κB活性化に関わることが明らかにされた(Mol Cell, in press)。NF-κBは慢性炎症、免疫異常、アレルギー、発ガンなど多彩な疾患に深く関わっており、今後、直鎖状ポリユビキチン化の生理的機能解析と共に病態への関与についても解明を進めたい。
   
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