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PubMedID 19250911 Journal Mol Cell, 2009 Feb 27;33(4);505-16,
Title A Role for NBR1 in Autophagosomal Degradation of Ubiquitinated Substrates.
Author Kirkin V, Lamark T, ..., Dikic I, Johansen T
順天堂大学医学部生化学第一講座  木南研    曽 友深     2009/03/04

オートファゴソーム膜に局在する新規ユビキチンレセプター
Terje Johansenグループとの共同研究の結果の報告です。
 一般的にユビキチン化されたタンパク質はプロテアソームによって速やかに分解されます。しかしながら、最近のオートファジーのマウス遺伝学的研究によって、オートファジー不全がユビキチン化タンパク質の蓄積およびユビキチン封入体の形成を伴った肝障害や神経変性疾患などを引き起こすことが明らかとなりました。さらに、我々は以前に、オートファゴソーム膜上のLC3がユビキチンレセプターであるp62と相互作用することで、オートファゴソーム内に効率良くユビキチン化タンパク質を取り込むシステム提唱してきました。
 今回の報告で、我々はオートファゴソーム膜上に局在する新たなユビキチンレセプターとして、NBR1を同定しました。NBR1はN末端側にPB1ドメインとジンクフィンガー、C末端側にUBA ドメインを持つタンパク質であり、そのドメイン構造はp62と非常に類似しています。NBR1はp62のLIRやLRSに類似したモチーフを介して、LC3などのAtg8ホモログとの相互作用を介して、オートファゴソーム内に取り込まれ、リソソームにて分解されます (NBR1とp62は複合体を形成しているので、その分解が互いに非依存的であるか、更なる検証が必要だと思われる)。そして、NBR1はp62同様に結合パートナーのAtg8ホモログのsiRNAで凝集化します。これらの結果はNBR1がLC3などのAtg8ホモログとの相互作用を介して、オートファジー・リソソーム系で分解されること。また、NBR1の持つUBAドメインを介して、ユビキチン化タンパク質をオートファゴソームに取り込むことを示しています。
 今までにユビキチン・p62陽性封入体は、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患やアルコール性肝炎や肝臓ガン組織に観察されています。今回、我々はNBR1もアルコール性肝炎の特徴であるマロリー体に、ユビキチン・p62同様に局在すること。また、オートファジー不能肝細胞においてもNBR1はユビキチン・p62陽性封入体に局在することが確認できました。
 以上の結果から、NBR1はLC3などのAtg8ホモログを介してオートファゴソーム膜上に局在し、p62と協調してユビキチン化タンパク質の効率の良いオートファゴソームへの取り込みに貢献しているユビキチンレセプターと考えています。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局