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PubMedID 19250912 Journal Mol Cell, 2009 Feb 27;33(4);517-27,
Title Autophagy inhibition compromises degradation of ubiquitin-proteasome pathway substrates.
Author Korolchuk VI, Mansilla A, Menzies FM, Rubinsztein DC
順天堂大学医学部生化学第一講座  木南研    一村 義信     2009/03/04

オートファジー不全によるユビキチン化蛋白の蓄積、その理由は。
  オートファジー欠損マウスの解析から、オートファジーの不全は、Ub化タンパク質の蓄積を引き起こすことが報告されているが、そのメカニズムについての解析報告はされていなかった。今回の報告では、プロテアソームの特異的基質が、オートファジーの阻害により蓄積されること、それが、オートファジーの選択的基質であるp62の蓄積に依存することを示している。p62の過剰発現でも、プロテアソームの基質の分解は遅延する。ところが、その効果は、p97(Ub化タンパクのプロテアソームへの輸送に関与)の過剰発現で抑えられる。つまり、オートファジー不全→p62が蓄積→p62のUBAドメインへUb化タンパクがトラップされる(言い換えるとUPS fluxの阻害)→Ub化タンパクの蓄積、となる訳である。既に、オートファジー不全によるp62の蓄積は、細胞内封入体形成の原因となること。また、これにはp62のPB1ドメインを介した凝集体形成が深く関与することが報告されている。そこで、本論文ではp62が凝集体を形成する役割について調べている。その結果、p62のノックダウンはpolyQの凝集に影響を与えなかった。したがって、先のあらすじを考慮すると、p62は凝集体の核となるわけではなく、ユビキチン・プロテアソームの流れを阻害することが、polyQ凝集の影響を与えていることとなる。(ここで、誤解を生じないように補足すると、今回の論文で封入体形成機構についての解析はなく、特にp62陽性封入体に見られる凝集体形成機構にはp62が直接関与しているであろうことから、著者たちも、異なる二つの封入体形成機構が存在することを考えている。)
  最後に、著者たちは、オートファジーの阻害効果は、ユビキチン・プロテアソーム分解系にも影響を与えるため、その評価には注意が必要であると言うことを提起している。
(それでも、肝臓は違う。by こまつ)
   
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