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PubMedID 19270696 Journal Nat Cell Biol, 2009 Mar 8; [Epub ahead of print]
Title Two Beclin 1-binding proteins, Atg14L and Rubicon, reciprocally regulate autophagy at different stages.
Author Matsunaga K, Saitoh T, ..., Noda T, Yoshimori T
大阪大学、微生物病研究所、細胞制御分野   吉森保研    松永 耕一     2009/03/25

複数のBeclin-1複合体による機能制御
最近Pubmedに載りました私たちの論文の紹介をさせていただきます。

Beclin-1は酵母Atg6/Vps30の哺乳動物ホモログで、オートファジーに必須のタンパク質です。ガン抑制や神経変性疾患に関わるという報告に加え、ノックアウトマウスでは早期の胎生致死になるなど他のAtgホモログとは異なる報告がされているタンパク質です。これまでに結合タンパク質も多数同定されています。

今回私達もBeclin-1と相互作用する新規タンパク質を二つ発見し、Atg14L、Rubiconと名付けました。Atg14Lに対しては、東京医科歯科大学、細胞生理学分野  水島昇研の板倉さんらによって、Atg14として昨年10月に報告がありましたものと同じです。

解析をすすめたところ、この二つの新規タンパク質はそれぞれBeclin-1を共通成分として、異なる複合体を形成していました。細胞内局在をみたところ、Atg14LはERに局在し、さらに栄養飢餓依存的に隔離膜やオートファゴソームに局在していました。一方Rubiconは後期エンドソーム/リソソームに主に局在していました。さらに私達はAtg14LノックアウトマウスES細胞を作成し、解析を行ったところ、この細胞ではオートファゴソーム形成が阻害されていました。一方でRubiconをノックダウンした細胞では、オートファゴソーム/リソソーム融合過程が活性化され、さらにエンドサイトーシス経路の輸送も促進されました。これによりAtg14Lを含むBeclin-1複合体はオートファゴソーム形成過程(Autophagosome formation)のポジティブレギュレーターとして機能し、一方Rubiconを含むBeclin-1複合体はオートファゴソーム/リソソーム融合過程(Autophagosome maturation)と、エンドソーム経路におけるネガティブレギュレーターとして機能していることをこの論文で報告しています。


今後はAtg14(L)複合体とER膜との関係と、Rubiconの詳細な分子機能についてそれぞれ研究を発展させていくつもりでいます。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局