Proteolysis Forum
トップ

PubMedID 19322194 Journal EMBO J, 2009 Mar 26; [Epub ahead of print]
Title The structure of Atg4B-LC3 complex reveals the mechanism of LC3 processing and delipidation during autophagy.
Author Satoo K, Noda NN, ..., Ohsumi Y, Inagaki F
北海道大学大学院薬学研究院 構造生物学研究室  稲垣冬彦研    佐藤 健次     2009/04/01

ヒトAtg4Bの活性制御機構
最近発表された私たちの論文を紹介させていただきます.

Atg4BはLC3のprocessingとdeconjugationの役割を担う酵素です.我々は今回,ヒトAtg4BとLC3の複合体の結晶構造を決定しました.Atg4Bは単体構造において,259-262の領域に存在するループによって活性Cys残基が塞がれており,自己阻害していることを以前報告しましたが,このループは自己阻害だけでなくAtg8ホモログに特徴的な芳香族-Gly配列の認識にも重要な役割を担っていることが判明しました.
Atg4BはLC3と複合体を形成することで,ループ領域のほかにN末端領域にも大きな構造変化を起こしていました.この構造変化によってAtg4Bにはflatな面が形成され,これが膜上のLC3のdeconjugationに寄与していると考えられます.興味深いことに,この構造変化はAtg4BのN末端領域のYXXL配列が,基質ではない別の分子のLC3のWXXLモチーフ結合サイトに相互作用することによって起こっていました.この相互作用の意義は今後の解析が必要ですが,Atg4Bは膜上のLC3量によってdeconjugation活性が制御されている可能性が考えられます.
LC3のPE化のみならずdeconjugationも正常なオートファジーの進行に必須であることからも,その制御機構の解明を目指したいと思います.
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局