PubMedID |
19345187 |
Journal |
Cell, 2009 Apr 3;137(1);60-72, |
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Title |
Acetylation targets mutant huntingtin to autophagosomes for degradation. |
Author |
Jeong H, Then F, ..., Yamamoto A, Krainc D |
東京工業大学 統合研究院 先進研究機構 大隅良典研究室 岡本浩二 2009/05/11
アセチル化された変異Huntingtinタンパク質のオートファジー系による分解
神経変性疾患として広く知られているハンチントン病の原因タンパク質、Huntingtinの変異型(長いグルタミン・リピートを含む)が、オートファジーによって分解されること、そのプロセスにはタンパク質のアセチル化が重要であることを示した論文。著者らは、ある変異Huntingtinのモデル・タンパク質を用いて、N末444番目のリジン(Lys444)がアセチル化されることを見出し、同様のアセチル化が内在性の変異型Huntingtinにおいても起こっていることを、モデルマウスとハンチントン病患者由来の脳を用いて明らかにした。興味深いことに、Lys444に変異を導入し、アセチル化が起こらなくすると、変異型Huntingtinがマウスの初代培養神経細胞や脳内に蓄積する。逆に、Lys444のアセチル化を促進すると、変異型Huntingtinの消失が顕著に進むことを、ラットや線虫の系で示した。さらに、このアセチル化された変異型Huntingtinの分解にオートファジー・リソソーム系が関与していること、その過程にp62が働いていることを示した。
非病原性よりも病原性のHuntingtinがより効率よくアセチル化される仕組みや、どのようにしてアセチル化されたHuntingtinがオートファゴソームに隔離されるのか、その認識機構と、LC3やp62との相互作用、タンパク質の細胞内局在変化も含め、さらなる展開が期待される。また、オートファジーによって分解される他の基質タンパク質でも、アセチル化が重要なのかどうか、興味深い。