PubMedID |
19339967 |
Journal |
Nature, 2009 Apr 30;458(7242);1131-5, |
|
Title |
Autophagy regulates lipid metabolism. |
Author |
Singh R, Kaushik S, ..., Cuervo AM, Czaja MJ |
東京工業大学 統合研究院 大隅 良典 研 中戸川 仁 2009/05/12
マクロオートファジーによる脂肪滴の分解
細胞内で脂質は主にトリグリセリド(TG)として脂肪滴(LD)に蓄えられており、栄養飢餓時にはこれが脂肪酸に分解されβ酸化を経てエネルギーに変換される。この論文は、マウスの培養肝細胞あるいは個体(肝臓)において、(1) 3MAの添加あるいはAtg5やAtg7のノックダウン/ノックアウトにより、TGおよびLDの細胞内量が上昇する(培養細胞の場合、オレイン酸の添加やメチオニン-コリン欠乏培地を用いてTGの合成を促進するとオートファジーの阻害による効果がより顕著になる。また、TGの蓄積は、合成速度の上昇ではなく、分解速度の低下によるものであることを確認している)。(2) LDがオートファゴソームマーカーであるLC3およびリソソームマーカーであるLAMP1と共局在する(LC3との共局在はオートファゴソームとリソソームとの融合を阻害するとより顕著になり、リソソームとの共局在は逆に見にくくなる)。(3) 電顕で二重膜で取り囲まれたLDが観察される(巨大なLDの内部にも膜構造やLC3のシグナルが見えるのは??)(4) LDを精製するとLC3が共精製され、autophagic vacuoleフラクションあるいはリソソームフラクションを調製するとそこにLD局在蛋白質が含まれる。等の結果から、TG、LDの分解にオートファジーが関与すると結論付け、著者らはこれをマクロリポファジー(macrolipophagy)と呼んでいる。上記、TGの合成が促進される条件や、飢餓時など、マクロリポファジーが盛んに起きていると思われる条件下では、LDを排他的に隔離したautophagic vacuoleの割合が上昇することから、著者らは、LDのオートファゴソームによる隔離には選択性があると考えており、p62のようなレセプターの同定が待たれる。マクロリポファジーの生理学的重要性を直接示す結果は含まれていないが、著者らは、老化に伴うオートファジーの活性低下が、肝臓における脂肪の蓄積を引き起こし(また脂肪の蓄積がオートファジーの減弱に拍車をかけ)、メタボリックシンドロームに繋がる可能性について議論している。