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PubMedID 19270693 Journal Nat Cell Biol, 2009 Apr;11(4);468-76,
Title Distinct regulation of autophagic activity by Atg14L and Rubicon associated with Beclin 1-phosphatidylinositol-3-kinase complex.
Author Zhong Y, Wang QJ, ..., Heintz N, Yue Z
東京工業大学 統合研究院  大隅良典研    小林 孝史     2009/05/15

哺乳動物Atg14ホモログの発見と、そのPI3K活性の調節機構。
 出芽酵母オートファジーには、Atg6-Atg14-Vps15-Vps34のPI3K typeI複合体が必須である。哺乳動物細胞では、Beclin-1がATG6のホモログ、hVps15/p150がVps15のホモログ、hVps34がVps34のホモログであるということが明らかにされてきたが、Atg14の哺乳動物ホモログに関しては明らかにされていなかった。
 哺乳動物Atg14ホモログを探索するため、著者らはBeclin1-EGFPのトランスジェニックマウスを作製し、その肝臓と脳のライセートを用いてBeclin1結合タンパクのプルダウンを試みた。その結果、RubiconとAtg14Lの2つの因子を新しく発見した。そのうちAtg14Lが哺乳動物Atg14ホモログであった。ここまでは、同じissueに掲載されている松永さんの論文とほぼ同等ですが、導き出される論理がやや違います。
 哺乳動物細胞では、PI3K複合体はBeclin1-Atg14L-UVRAG-Vps15-hVps34-Rubiconという非常に大きな複合体を形成し、Beclin1-Atg14LのセットはそのPI3K活性にポジティブに、それに対してRubiconはネガティブに働く。Beclin1-Atg14の強発現で誘導される構造体はオートファジー関連構造体であったが、Rubiconを強発現した時に見られる構造体はBeclin1と共局在せず、MVBと共局在する。RubiconはC末のCys-rich領域が一般的なPI3P結合性のFYVE領域と相同性があることを見いだし、この領域が細胞内局在に重要であるところは面白かったが、in vitroでのPI3Pとの結合が見られないことからin vivoでPI3Pと結合しているかは今後の興味であると思う。

 PI3K複合体がAtg14LとUVRAGの両方を含むという仮説は酵母と異なるが、それを主張するのに十分な論拠があるとはいえず、仮説の域を出ていないのが残念である。
   
   本文引用



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