PubMedID |
19446323 |
Journal |
Cell, 2009 May 13; [Epub ahead of print] |
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Title |
Multiple Proteasome-Interacting Proteins Assist the Assembly of the Yeast 19S Regulatory Particle. |
Author |
Saeki Y, Toh-E A, ..., Kawamura H, Tanaka K |
東京都臨床医学総合研究所 先端研究センター 田中啓二研 佐伯 泰 2009/05/20
出芽酵母プロテアソーム19S RPの分子集合を支援する4つの新規シャペロン
最近発表した私たちの論文を紹介させていただきます。
タンパク質の分解には即効性と完全性が求められるため、分解マシンである26Sプロテアソーム自体も正確に形作られる必要があります。26Sプロテアソームは活性部位である20Sプロテアソームと活性調節部位19S Regulatory Particle (RP)が会合した約70個のサブユニットからなる巨大な複合体です。これまで20Sプロテアソームの分子集合には特異的な分子シャペロンPAC1〜4、Ump1が関与することが報告されてきましたが、より複雑で重要な19S RPがどのように形成されるのかほとんど分かっていませんでした。
今回、プロテアソームと一時的に結合する一連のタンパク質群(proteasome-interacting proteins、 PIPs)のうち4種類の異なるタンパク質が、19S RPの分子集合を支援するシャペロンタンパク質として機能することを見出しました。
論文では以下のことを示しました。
(1) PIPsの一つNas6の機能解析を行ったところ、遺伝学的なスクリーニングからPIPsの一つRpn14が、共沈タンパク質からさらに2つのPIPs、Nas2とHsm3が同定された。
(2) Nas2、 Nas6、 Rpn14、 Hsm3は26Sプロテアソームには存在せず、それぞれ19S RPの異なるATPaseサブユニット(Rpt)と結合した。
(3) Nas2、 Nas6、 Rpn14、 Hsm3の多重破壊株を作成し解析したところ、4重破壊株においても致死とはならないものの高温とアミノ酸アナログに対して感受性を示した。また、遺伝学的な解析よりNas6とRpn14は似た機能を持つこと、Hsm3とNas2より上位であることが示された。
(4) Nas2、 Nas6、 Rpn14、 Hsm3の多重破壊株中において26Sプロテアソームの会合状態を解析したところ、19S RP base(基底部)の会合に欠損がみられた。蛍光イメージングおよび定量MS解析を行ったところ、Nas6-Rpt3-Rpt6-Rpn14、 Hsm3-Rpt1-Rpt2-Rpn1、Nas2-Rpt4-Rpt5というbase中間体が検出された。
これらの結果により、4つの異なるPIPs (Nas2、Nas6、 Rpn14、 Hsm3)が19S RP baseの分子集合を支援するシャペロンタンパク質として機能することが示されました。
今回、驚いたことにHarvard大のFinleyさん、Yale大のHochstrasserさんのラボもそれぞれ同様の論文を報告しました(細かいところは多少異なりますが)。この分野も競争が激化しているようです。
ところで動物細胞ではどうか?という疑問はやはりあのお方が報告されます。