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PubMedID 19490896 Journal Cell, 2009 May 29;137(5);914-25,
Title Assembly pathway of the Mammalian proteasome base subcomplex is mediated by multiple specific chaperones.
Author Kaneko T, Hamazaki J, ..., Tanaka K, Murata S
東京大学大学院薬学系研究科  村田茂穂    金子岳海     2009/06/07

哺乳類プロテアソームの19S RP形成を支援する新奇シャペロン群
最近我々が発表した論文を紹介させて頂きます。

巨大な蛋白質分解酵素であるプロテアソームは約70種のサブユニットから成り、蛋白質分解を実行する20S Core Particleの分子集合にはいくつかのシャペロン分子が介在することが報告されています。しかし調節部位である 19S Regulatory Particle (RP)の分子集合機構は明らかではありませんでした。

今回の論文ではプロテアソームと一時的に結合するタンパク質(proteasome-interacting proteins、 PIPs)に着目し、siRNAを用いた生化学的解析により哺乳類細胞における19S RPの分子集合機構について以下のことを示しました。

・p28/Gankyrin、Rpn14、S5b、p27は26Sプロテアソームには結合せず、形成過程のbaseサブユニットと結合してそれぞれp28-Rpt3-Rpt6-Rpn14、S5b-Rpt1-Rpt2-Rpn1、p27-Rpt5-Rpt4とサブアセンブリを形成していた。

・19S RPのbaseサブユニットのノックダウンはサブアセンブリ内で結合する19S RPのbaseサブユニットが不安定化し、他のサブアセンブリの蓄積が観察された。

・p28、S5b、p27をノックダウンすると、サブアセンブリ同士の会合が抑制され、19S RPのbase形成が阻害された。

以上の結果より、19S RPのbaseの形成はp28-Rpt3-Rpt6-Rpn14とS5b-Rpt1-Rpt2-Rpn1の会合から始まり、そのあとにp27-Rpt5-Rpt4が組み込まれ、この過程でp28、Rpn14、S5b、p27がサブアセンブリ同士の会合を制御するシャペロンとして機能することを明らかとしました。

出芽酵母とほとんど同じアセンブリメカニズムですが、 細かいところで違いがいくつかあります。特にサブアセンブリの会合の順番が異なっている点が大きな相違点です。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局