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PubMedID 19229298 Journal EMBO J, 2009 Apr 8;28(7);889-901,
Title Protein quality control during aging involves recruitment of the macroautophagy pathway by BAG3.
Author Gamerdinger M, Hajieva P, ..., Hartl FU, Behl C
東京工業大学 統合研究院 先進研究機構  大隅良典    中戸川 万智子     2009/06/15

老化におけるタンパク質品質管理機構とBAG3誘導性オートファジーとの関係
BAG(Bcl-2-associated athanogene)ファミリータンパク質は、タンパク質品質管理機構における調節因子である。この論文の著者らは、老化のモデル細胞であるI90やマウスの個体を用いて、老化に伴って、BAG1の蓄積量は減少し、逆にBAG3の蓄積量は増加することを見いだした。BAG1のノックダウンによって、polyUbタンパク質やプロテアソームによる分解のモデル基質が蓄積したことから、BAG1はpolyUb化タンパク質のプロテアソームによる分解に重要であることが示された。一方、BAG3の蓄積とLC3-IIの蓄積(autophagic fluxを見ている)に正の相関が見られたことから、BAG3によってオートファジーが誘導されることが示唆された。興味深いことに、BAG3はSQSTM1/p62と相互作用することが示された。老化に伴ってSQSTM1はpolyUb化タンパク質を含むinclusion bodyを形成するが、そこにはBAG3も含まれていた。老化に伴って蓄積したpolyUb化タンパク質は、BAG3依存的にリソソームにおいて分解された。筆者らは、これらの結果から、老化におけるタンパク質品質管理について以下のようなモデルを提唱している:通常レベルのpolyUb化タンパク質はプロテアソームによって分解されるが、老化に伴って酸化ストレスが蓄積し、それによって生じるpolyUb化タンパク質の分解が追いつかなくなると、BAG3誘導性のオートファジーによるpolyUb化タンパク質の分解が重要になる。

今後BAG3がオートファジーにおいてどのように機能するのか、詳細な解析が期待される。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局