PubMedID |
19458266 |
Journal |
Proc Natl Acad Sci U S A, 2009 Jun 2;106(22);8923-8, |
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Title |
Rheb controls misfolded protein metabolism by inhibiting aggresome formation and autophagy. |
Author |
Zhou X, Ikenoue T, ..., Inoki K, Guan KL |
東京工業大学 統合研究院 大隅 良典研 大岡 杏子 2009/07/02
TSC-Rhebはアグリソームの形成を制御する
細胞に異常蛋白質を過剰に発現させたり、プロテアソーム阻害剤を加えると、ユビキチン化された異常蛋白質が微小管上を移動するダイニンモーターによって中心体付近に集積し、アグリソームが形成されることが知られている。このアグリソームの形成は、異常蛋白質を処理するために、重要な機構であると考えられている。
これまでに、GTPaseであるRhebがmTORを活性化し、オートファジーを抑制すること、Rhebの活性はGAPであるTSC複合体によって制御されていることはよく知られている。この論文では、Rhebがアグリソームの形成も抑制することを示している。つまり、TSCが欠損した細胞ではRhebの活性が上昇するため、プロテアソーム阻害剤を加えてもアグリソームが形成されず、Rhebの発現を抑制した細胞では、プロテアソーム阻害剤を加えると不溶化したユビキチン化蛋白質が蓄積する。ラパマイシンを加えてmTORを活性化しても同様の結果が得られることからアグリソームはmTOR非依存的に形成されている。
TSC欠損細胞にプロテアソーム阻害剤を加えると、アポトーシスが起こることも示している。同様に、肝臓特異的TSC欠損マウスでも、プロテアソーム阻害剤を投与すると、アグリソームが形成されなくなり、アポトーシスが起こる。このアポトーシスは、Rhebが活性化されアグリソーム形成が抑制されたために引き起こされたと考察している。
また、ユビキチン化蛋白質とダイニンの免疫沈降実験から、TSC欠損細胞で両者の結合能が顕著に低下していることを示している。筆者らは、TSCが欠損することで、ユビキチン化蛋白質がダイニンによって中心体へ輸送されないために、アグリソームが形成されないのだろうと考察している。