PubMedID |
19889643 |
Journal |
J Biol Chem, 2009 Nov 4; [Epub ahead of print] |
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Title |
The dimeric coiled-coil structure of Saccharomyces cerevisiae ATG16 and its functional significance in autophagy. |
Author |
Fujioka Y, Noda NN, ..., Ohsumi Y, Inagaki F |
北海道大学大学院薬学研究院 構造生物学研究室 藤岡優子 2009/11/08
酵母Atg16の結晶構造
最近受理された私たちの論文を紹介させていただきます.
酵母Atg16はN末端領域を介してAtg5と結合し,またC末端領域にあるコイルドコイルを介して自己会合して多量化することが知られています.以前私たちはAtg16のN末端領域の立体構造をAtg5との複合体として報告しましたが, 今回Atg16全長とコイルドコイル領域のみの結晶構造の決定に成功しました.興味深いことに,どちらも平行コイルドコイルダイマー構造を取っていました.ゲルろ過クロマトグラフィーではAtg16は4量体相当の分子量の位置に溶出しますが,分子の形状に依存しない分子量がわかる分析超遠心法による解析で,Atg16は二量体相当の分子量を持つことがわかりました.藤田さん方も最近ヒトAtg16Lがダイマーを形成することを報告されたことから,Atg16がダイマー構造を取るのは進化上保存されているようです.またコイルドコイルのC末端側半分の分子表面には,進化上高度に保存された残基の側鎖が集中して露出していました.それらのアラニン変異によってオートファジー活性が顕著に阻害されたことから,Atg16はコイルドコイルの分子表面を用いて何らかの機能を担っていると予想されます.
今回の構造では,全長で解析したにも関わらずAtg16のN末端領域は電子密度が認められませんでした.N末端領域とコイルドコイル領域はフレキシブルなリンカーで結ばれ,相対配置が固定されていないことが予想されます.実際の機能単位であるAtg12-Atg5-Atg16複合体ではどのような立体構造を取っているのか,コイルドコイル表面の保存残基は具体的にどのような役割を担っているのか,今後明らかにすべき課題です.