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PubMedID 19625776 Journal Autophagy, 2009 Oct;5(7);937-45,
Title Knockdown of autophagy-related gene decreases the production of infectious hepatitis C virus particles.
Author Tanida I, Fukasawa M, ..., Wakita T, Hanada K
国立感染症研究所 細胞化学部第2室  生体膜解析室    谷田以誠     2009/11/09

オートファジー関連遺伝子のノックダウンはHCV粒子産生に影響する
オートファジーとHCV(ヒトC型肝炎ウィルス)粒子産生に関して、私どもの知見を紹介させていただきます。昨年、HCVのサブジェノミックレプリコンを発現させた実験系に(主にmRNA複製に必要な非構造遺伝子群を発現させた系だとお考えください)おいて、Sirら(Hepatology. 48:1054-61, 2008)により、Atg7のノックダウンにより、細胞内HCV mRNA量が減少する事が報告されました。そこで、HCV粒子を細胞に感染させる実験系において、オートファジー関連遺伝子のノックダウンによる影響を調べました。その結果、Atg7のノックダウンでは細胞内のHCV mRNA量、細胞内HCV関連タンパク質の量はほとんど影響を受けす、細胞外に放出された感染性のあるHCV粒子の量が減少している事がわかりました。またBeclin1のノックダウンでも同様の結果が得られました。ヒトアルブミンの分泌にはAtg7およびbeclin1のノックダウンによる影響がほとんど無かったことから、Atg7およびbeclin1のノックダウンはHCV粒子のアセンブリか、放出に関わるステップに影響している事が示唆されました。
最近、Dreux らは(Proc Natl Acad Sci U S A.;106(33):14046-51)はHCV pseudo particlesを用いて、HCVのentryのステップにオートファジー分子機構が関与しているという報告をしており、様相は複雑になってきております。
HCVが現在のところヒト肝細胞系のHuh7細胞しか感染しないため、ノックアウトマウスの肝細胞が使えないことと、実験系の違いでいろいろ複雑な状況になって来つつありますが、これからは、オートファジーの分子機構とHCV粒子のアセンブリ・分泌との関わりに注目して、解析を進めていこうと思っています。
   
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