Proteolysis Forum
トップ

PubMedID 19793921 Journal Mol Biol Cell, 2009 Sep 30; [Epub ahead of print]
Title A Genomic Screen for Yeast Mutants Defective in Selective Mitochondria Autophagy.
Author Kanki T, Wang K, ..., Yen WL, Klionsky DJ
九州大学病院・検査部(臨床検査医学講座)  マイトファジー研究グループ    神吉 智丈     2009/11/09

酵母ミトコンドリアオートファジー関連遺伝子のスクリーニング
最近受理された私たちの論文を紹介させていただきます。
ミトコンドリアオートファジー(マイトファジー)は、オートファジーによりミトコンドリアを選択的に分解する機構ですが、そのメカニズムは殆ど明らかにされていません。そこで私たちが以前報告した酵母マイトファジー観察法(Om45-GFPアッセイ;JBC 2008 Nov 21;283(47):32386-93参照)を用いて酵母ノックアウトライブラリーをスクリーニングしました。この結果ATG遺伝子以外にマイトファジーを完全にもしくは部分的にブロックする遺伝子を32遺伝子同定しました。このうち小胞輸送に関与する9つの遺伝子を除くすべての株で、マクロオートファジーの指標としてpho8Δ60アッセイ、Cvt pathwayの指標としてApeIの成熟を観察しました。結果、その半数以上がマイトファジーに特異的に関与する遺伝子でした。今回の実験は、あくまでスクリーニングが目的でしたので、同定した各々の遺伝子のマイトファジーにおける機能は明らかに出来ていませんが、今後、徐々に解析していこうと思っています。ただひとつ、Ylr356wは、その解析が全くなされていないがミトコンドリアに局在することは明らかであったため、簡単な解析を今回の報告に含めています。Ylr358wは、飢餓で誘導した場合のマイトファジーにも関連していましたが、その関連は弱く、post-log phaseで誘導されたマイトファジーにより強く関連していることがわかりました。このことから、私たちはYlr356wがpost-log phaseにおいて、古くなったミトコンドリアをマイトファジーで除去するための何らかの機能を持っているのではないかと疑っていますが、その証明は今後の課題です。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局