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PubMedID 20098416 Journal Nat Cell Biol, 2010 Feb;12(2);119-31,
Title PINK1/Parkin-mediated mitophagy is dependent on VDAC1 and p62/SQSTM1.
Author Geisler S, Holmstrom KM, ..., Kahle PJ, Springer W
東京工業大学 統合研究院 先進研究機構  大隅良典研    中戸川 万智子     2010/03/02

PINK1/Parkinを介したマイトファジーにVDAC1とp62が関与する
CCCP処理による脱分極やROSの産生に伴って、ミトコンドリアがオートファジーによって分解・除去されることが分かっている。最近、パーキンソン病の原因遺伝子と考えられるPINK1、Parkinがオートファジーによるミトコンドリアの分解に関与することが示され、そのメカニズムに関する論文が続々と報告されている。
細胞をCCCP処理すると、Parkinは脱分極したミトコンドリアに局在し、ミトコンドリアのオートファジーによる分解を媒介する。彼らはまず、パーキンソン病患者に見られる様々なParkin変異体を、1)フォールディングが異常なもの、2)ミトコンドリアに局在できないもの、3)ミトコンドリアには局在できるが、ミトコンドリアの分解を媒介できないもの、4)どのステップにも異常が見られないもの、に分類した。また、CCCP処理時のParkinのミトコンドリアへの局在には、PINK1のミトコンドリアへの局在と、kinase活性が必要であることを示している。興味深いのは、脱分極したミトコンドリアには、PINK1、Parkinに加え、ポリユビキン化タンパク質やp62も局在することである。VDAC1というミトコンドリアの外膜タンパク質がParkin(E3 ligase)の基質となることが示されているが(K27リンクのポリユビキチン鎖が結合)、ポリユビキチン化されたVDAC1がp62と直接相互作用するかどうかは明らかでない。しかしながら、Parkinのミトコンドリアへの局在とE3活性が、脱分極したミトコンドリアへのポリユビキチン化タンパク質の蓄積、さらにはp62の蓄積と良く一致していることから、「ParkinがVDAC1をユビキチン化し、それを標的としてp62がミトコンドリアにリクルートされ、マイトファジーが進行する」というPINK1およびParkinからマイトファジーに至るまでの一連の流れが想像できる。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局