PubMedID |
20159449 |
Journal |
Neuron, 2010 Feb 11;65(3);358-72, |
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Title |
Regulation of Rap2A by the ubiquitin ligase Nedd4-1 controls neurite development. |
Author |
Kawabe H, Neeb A, ..., Rhee J, Brose N |
筑波大学 生命環境科学研究科 千葉研究室 鶴田文憲 2010/03/13
Nedd4によるRap2制御は樹上突起の形態形成に重要である
二報目の論文では、Nedd4がsmall GTPaseであるRap2AにLys63結合型のユビキチン化修飾を施すことで、effectorであるTNIKの活性を抑制し、樹上突起の伸長を正に制御することを報告しています。まず筆者らは、Nedd4ノックアウトマウスを作製し、Nedd4が樹上突起の形態制御やシナプス形成に必要であることを見出しました。次にNedd4のターゲットを同定するため、ラット脳から結合タンパク質を精製してきたところ、TNIKと呼ばれるキナーゼを同定することに成功しています。TNIKはもともとTRAF2- and NCK-interacting protein として同定されたもので、これまでにRap2のeffectorとして細胞骨格の制御に重要であることが示唆されていました。興味深いことに、Nedd4結合タンパク質として同定されたTNIKはNedd4によってユビキチン化されず、Nedd4がRap2にLys63結合型ユビキチンを付与する際のアダプターとして機能することを見出しています。またユビキチン化されたRap2はeffectorと結合できないことをから、Rap2ユビキチン化による3者複合体のperturbationが、Rap2のeffectorでもあるTNIKの機能を抑制するのではないかと考察しています。最後に筆者らは、これまでに得られた分子メカニズムが、実際にNedd4による樹上突起の形態制御に関与しているのか、優勢抑制型Rap2AやTNIK RNAiなどを用いて検討を行い、Nedd4によるRap2のユビキチン化ならびにTNIKの機能制御が樹上突起の伸長に重要であると結論づけています。
二報目の論文はRap2AがNedd4の新規ターゲットになることを明らかにした点、またTNIKの新しい活性制御の分子メカニズムなど面白いところがたくさんありました。また筆者らのグループが、PTENがNedd4のターゲットにはならないと主張している点も興味深いところです。今回報告された2報の論文がどこまで正しいかは今後の追試を待たなければいけないと思いますが、Nedd4が神経細胞の形態制御に何らかの関与を持つという点ははおそらく正しいのではないかと思いました。