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PubMedID 20236927 Journal J Biol Chem, 2010 Mar 16; [Epub ahead of print]
Title Crystal structure of yeast Rpn14, a chaperone of the 19S regulatory particle of the proteasome.
Author Kim S, Saeki Y, ..., Mizushima T, Kato K
名古屋市立大学大学院薬学研究科  加藤晃一研    高木賢治     2010/05/10

プロテアソーム分子集合シャペロンRpn14の構造決定
 本研究室でプロテアソーム分子集合シャペロンRpn14の構造決定を行いましたのでこれを報告します。

 真核生物のプロテアソーム19S制御複合体はLidとBaseに分類され、Baseは20Sプロテアソームのαリングに結合しゲート開閉を行います。このBase部分は6つの構造類似したRptサブユニット(Rpt1-6)から構成され、これらは6量体リングを形成するとされています。近年このBase形成を補助するシャペロン(Nas2, Nas6, Rpn14, Hsm3)が報告され、これらは特定のRptサブユニットに結合することで分子集合を補助していることが明らかとされました。本論文ではRpn14の結晶構造を決定し、生化学的な実験によりその相互作用機構を明らかにしました。

 X線結晶構造解析によりRpn14は、小さなN末端ドメインとC末端にWD40ドメインを持つことがわかりました。このC末端ドメインと高い構造類似性をもつ、Gタンパクのβサブユニット(Gβ)では、基質(αへリックスペプチド)を電荷的な相補性により結合しています。また、他のRptシャペロンNas6も同様に、電荷の相補性により相互作用分子Rpt3-C(Rpt3のC末端)を結合していることが複合体構造から明らかとなっています。よって、Rpn14のC末端WD40ドメインも同様に、相互作用分子と電荷相補的に結合していると予想しました。構造モデリングソフトMOEを用いてRpn14の相互作用分子であるRpt6のC末端(Rpt6-C)の構造をモデリングしたところ、Rpt6-CとRpt3-Cは全く異なる表面電荷を持つことがわかり、Nas6-Rpt3とRpn14-Rpt6という特異的なサブユニットの認識のためにこれらの差異が存在すると考えられました。

 in vivoにおける部位特異的変異実験から、Rpt6-Cの荷電表面にRpn14との相互作用残基が存在することを明らかにし、これをin vitroプルダウンアッセイにより確認しました。さらにRpn14側の相互作用残基に関してもin vivo及びin vitroの実験により確認しました。


 19S制御複合体集合のシャペロン機構はまだよくわかりませんが、今回の構造決定は今後の19S制御複合体集合研究の枠組みを整えたといえます。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局