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PubMedID 20228808 Journal Nat Cell Biol, 2010 Apr;12(4);400-6,
Title Ubiquitin hydrolase Dub3 promotes oncogenic transformation by stabilizing Cdc25A.
Author Pereg Y, Liu BY, ..., French DM, Dixit VM
筑波大学大学院 生命環境科学研究科生物科学専攻  千葉智樹研    芦木拓真     2010/05/24

DUB3のCdc25A安定化によるガン誘導
Cdc25AはCdkを活性化することで、細胞周期進行を誘導し、結果として発ガン性を有すことになります。Cdc25Aタンパク量は通常細胞では厳密に制御されていますが、多くのガン細胞に於いて過剰発現が見られています。そして、過剰発現の根本的な原因については未解明でした。今回その謎への回答として、筆者らはCdc25Aが脱ユビキチン化酵素Dub3によって安定化されていることを以下の結果より示しました。

・Dub3がCdc25Aに結合、分解マーカであるpolyUB修飾を外す
・Dub3 KDはCdc25Aの分解を誘導、Cdk/Cyclin活性を下げてG1/S, G2/Mアレストを起こす
・Dub3過剰発現は複製ストレスによるS, G2への移行を進め、DNA損傷応答を誘導する
・ヒト乳ガン細胞でのDub3過剰発現とCdc25A異常蓄積の相関及び、Dub3 KDによる転移抑制作用

直接阻害の難しいCdc25Aの制御因子として、Dub3は抗ガン剤の標的として期待されるとのこと。
近年、脱ユビキチン化酵素は薬剤標的として注目されています。
特定の酵素を標的とした薬剤が登場する日も近いかもしれません。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局