PubMedID |
20305637 |
Journal |
Nature, 2010 Apr 8;464(7290);864-9, |
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Title |
Molecular mechanism of multivesicular body biogenesis by ESCRT complexes. |
Author |
Wollert T, Hurley JH |
東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 水島昇研 ファム・グェン・クィ‐ 2010/06/04
ESCRT複合体による多胞体 (MVB) 形成の分子機構
受容体などの積み荷がリソソームによって分解される過程には多胞体(MVB)へと選別されるステップが重要であるとされている。しかし、多胞体は、どのようにして内側に積み荷を含んだ小胞を形成するのかについては異論が多くあった。
現行モデルではESCRT-III複合体が膜の変形とintraluminal vesiclesの出芽を誘導させる主な要素であった。しかし、このモデルをサポートするデータを提供した同じHurleyらは今回異なる結果を報告した。彼らは積み荷モデルとなる蛍光ユビキチンを付加した巨大リポソームと精製されたESCRT-0、-I、-II、-III複合体を混合し、出芽の過程を再構築・可視化することで各ESCRT複合体の役割を再評価した。
ESCRT-0は積み荷を集合させるのに対して、ESCRT-IとESCRT-IIは膜を芽状突起へと変形させる。ESCRT-IIIサブユニットは芽状突起のくびれの部分に局在し突起を効率よく切り離し、内腔に積み荷を含んだ小胞を形成させるという役割分担が観察された。この研究成果は各ESCRT複合体が細胞質側から働いて膜の陥入・出芽と切り離しを誘導する仕組みを決定づけた。
出芽における膜湾曲のdriving forceについては不明のままだったが、in vitro assayを用いたこの解析は多胞体形成の分子機構に関する理解を大きく前進させたと思われる。