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PubMedID 20639194 Journal J Biol Chem, 2010 Jul 16; [Epub ahead of print]
Title Selective transport of alpha-mannosidase by autophagic pathways: identification of a novel receptor, ATG34.
Author Suzuki K, Kondo C, Morimoto M, Ohsumi Y
東京工業大学・統合研究院  大隅良典研    鈴木邦律     2010/07/22

選択的オートファジーの新規レセプター
最近受理された我々の論文を紹介します.
出芽酵母において,オートファジー経路で選択的に液胞に輸送されるタンパク質として2種類の液胞内加水分解酵素が知られている.
ひとつは前駆型アミノペプチダーゼ?(prApe1)であり,もうひとつはαーマンノシダーゼ(Ams1)である.
prApe1とAms1は液胞近傍にcytoplasm-to-vacuole targeting (Cvt) complexと呼ばれる巨大な複合体を形成した後,オートファジー経路によって選択的に輸送される.
出芽酵母のオートファジー経路は,富栄養条件ではCvt小胞,飢餓条件ではautophagosomeを介して進行する.
共に閉じた二重膜構造体である点は共通だが,前者が直径約150 nm,後者は直径約500 nmとサイズが異なる.

これまではAtg19がAms1の唯一のレセプターだと考えられてきた.
今回我々は,オートファジー誘導条件下では,Atg19のホモログであるAtg34がAms1のレセプターとして機能しうることを見出した.Ams1結合ドメイン(ABD)を介したAms1との結合はAms1の輸送に必須であり,Atg8-family interacting motif (AIM)を介したAtg8との結合も同様であった.ABDはAms1が高次の集合体(Ams1 complex)を形成するのに必要であり,AIMは形成されたAms1 complexがautophagosomeに取り込まれるのに必要であった.
栄養飢餓に応じたAtg34の活性化機構やAtg34に他の積荷があるのかなど,まだまだ解明すべき点は多い.



   
   本文引用

1 北海道大学大学院 薬学研究院  構造生物学研究室 稲垣冬彦研  渡邊康紀 Ams1結合ドメイン(ABD)について 2010/07/29
Atg19, Atg34のAms1結合ドメイン(ABD)の同定および構造機能解析研究の論文が鈴木先生方の論文と連報として受理されましたのでそちらも参考にしていただけたらありがたいです。
      
   本文引用


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