PubMedID |
20592470 |
Journal |
J Clin Invest, 2010 Jul 1; [Epub ahead of print] |
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Title |
Dynamic distribution of muscle-specific calpain in mice has a key role in physical-stress adaptation and is impaired in muscular dystrophy. |
Author |
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独)農研機構 畜産草地研究所 食肉プロテオーム研究チーム 尾嶋 孝一 2010/07/23
カルパイン3のプロテアーゼ活性の必要性
最近受理された私達の論文を紹介します.
筋ジストロフィーは筋の変性・壊死が年齢と共に進行する遺伝性の難病である。その中の一つである肢帯型筋ジストロフィー2A型(LGMD2A)は筋特異的に発現するカルパイン3(p94とも呼ばれる)の遺伝子変異が原因で発症するが、その発症機序は15年間不明であった。本研究では、カルパイン3のプロテアーゼ活性不全によりLGMD2Aが発症するという仮説を立て、プロテアーゼ活性を持たないカルパイン3を発現する遺伝子改変マウス(ノックインマウス)を作出し、解析を行った。その結果、(1)ノックインマウスは加齢および運動ストレスにより筋ジストロフィーが重篤化した、(2)骨格筋の運動刺激に応じてカルパイン3の細胞内局在が変化し、その変化にはプロテアーゼ活性が関与していた、(3)野生型マウスでは運動ストレスにおいてMARP2 (Muscle Ankyrin Repeat Protein 2)やHSPの量が上昇するのに対し、ノックインマウスでは上昇しなかった。以上の結果から、MARP2やHSPを介した運動ストレスに対する筋の正常な防御反応のためには、カルパイン3のプロテアーゼ活性が必須であり、活性がない場合は筋が変性・壊死してジストロフィー症状が重篤化することを示した。本研究成果は、まだ決定的な治療法が見つかっていないLGMD2Aの治療・予防法を考える上で重要な手がかりを与えるものであると考えています。
私がこのプロジェクトに入ってから論文が受理されるまで非常に長い時間がかかってしまい大変申し訳なく思っております。また臨床研を離れてからも、反町さんを始めカルパインプロジェクトのみなさんには大変お世話になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。またこれからもよろしくお願いします。