PubMedID |
20620957 |
Journal |
Mol Cell, 2010 Jun 25;38(6);879-88, |
|
Title |
Ecm29 fulfils quality control functions in proteasome assembly. |
Author |
Lehmann A, Niewienda A, ..., Janek K, Enenkel C |
東京大学大学院薬学系研究科 村田茂穂研 蛋白質代謝学教室 白水亮平 2010/07/26
Ecm29はプロテアソームの品質管理機能を持ちうる
研究室のセミナーで扱った論文を紹介させていただきます。
Ecm29は約200 kDaの巨大なプロテアソーム結合タンパク質ですがその機能はまだよくわかっていません。
この論文では、まずEcm29がβ3を含まない・β5のプロペプチドが一部残っているといった不完全な20SとRPの複合体に結合していることを示しています。
また、Ecm29を欠損させると、複数のβサブユニットが含まれない不完全な20S中間体が蓄積しており、
そのような不完全な20SにEcm29を含む酵母ライセートを加えることでβ5の成熟が進行しているため、
Ecm29は不完全な20Sを完全なものに変換する働きをしており、その後、完成した20Sで分解される
シャペロンのような作用を持っていると示唆しています。
ただし、タグ化タンパク質が多用されていること(経験上、タグをつけるとプロテアソーム形成異常がしばしば起きる)や20S形成シャペロンであるUmp1の機能減弱条件下でしかEcm29の欠損による影響は観察されず、本来の生理的な機能から外れた現象を観察している可能性があり、やや大雑把な印象は拭えません。今後の更なる解析が待たれます。