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PubMedID 20659891 Journal J Biol Chem, 2010 Jul 21; [Epub ahead of print]
Title Selective transport of alpha-mannosidase by autophagic pathways: structural basis for cargo recognition by ATG19 and ATG34.
Author Watanabe Y, Noda NN, ..., Ohsumi Y, Inagaki F
北海道大学大学院 薬学研究院  構造生物学研究室 稲垣冬彦研    渡邊康紀     2010/07/29

Atg19, Atg34による積荷認識の構造的基盤
最近受理された私たちの論文を紹介します。

出芽酵母において、液胞内加水分解酵素であるprApe1及びAms1はオートファジー経路で選択的に液胞に輸送されます。
今回私たちは、レセプターであるAtg19とそのホモログであるAtg34のAms1結合ドメイン(ABD)を同定し、両者のABDの溶液構造を決定しました。
ABDを欠損させるとAms1の液胞輸送は顕著に減少するがprApe1の液胞輸送には影響しないことからABDはAms1の液胞輸送に特化して関わることを示しました。
また、両者のABDはよく似たimmunoglobulin foldを形成しており、そのフォールドの片側に集合しているループ領域において配列、立体構造が高度に保存されていました。その内、配列が完全に一致していたDEループにおける変異体解析によりDEループ上の保存されたHis残基がAms1の認識に重要であることを示しました。

ABDと類似した構造であるラクダの抗体等も、片側に集合したループ領域を介してターゲットを認識することから、オートファジーにおいてもABDのような立体構造を持つレセプターが他にも存在し、多様な積荷を認識している可能性が考えられます。
今後、選択的オートファジーにおける積荷認識機構の解明のため、他のレセプターの同定、構造解析研究が期待されます。
   
   本文引用



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