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PubMedID 20686710 Journal PLoS Genet, 2010;6(7);e1001040,
Title Calpain 8/nCL-2 and Calpain 9/nCL-4 Constitute an Active Protease Complex, G-Calpain, Involved in Gastric Mucosal Defense.
Author Hata S, Abe M, ..., Sakimura K, Sorimachi H
東京都臨床医学総合研究所・カルパインプロジェクト  反町研    秦 勝志     2010/08/10

胃粘膜防御に働くカルパイン複合体(G-カルパイン)の同定
最近発表した私達の研究成果の紹介です。
胃粘膜は粘液分泌など複雑な防御システムにより外的ストレスから保護されています。その際、胃粘膜の表層を覆うように存在する表層粘液細胞が大きな役割を果たします。我達は以前、2種類の胃腸特異的カルパインであるカルパイン8とカルパイン9がこの細胞特異的に発現することを見出していたのですが、それらの機能は不明でした。本研究において、カルパイン8とカルパイン9それぞれのノックアウトマウスまたはノックインマウスの解析を進め、(1)強制アルコール投与により、これらの変異マウスが野生型マウスに比べて有意に胃粘膜傷害を引き起こしやすくなること、(2)カルパイン8と9が複合体(G-カルパインと命名)として機能すること、(3)カルパイン8と9が複合体内では安定性・活性発現に必須なシャペロンの役割を果たすことから、カルパイン8と9が一体となってストレスに応答した胃粘膜防御に関わることを明らかにしました。発症のメカニズムやG-カルパインの実体(多分カルパイン8と9のヘテロダイマー)の解明は今後の課題です。
ヒトでは、SNPsによるカルパイン8とカルパイン9のmissenseまたはframeshift変異が数種ずつ報告されており、一部の変異体はプロテアーゼ活性が減弱または欠損していることも私達は予備実験で明らかにしています。カルパイン8と9のSNPsに伴う酵素機能の損失が、ストレスによる胃疾患のリスクを反映している可能性があり、今後の解析の進展によりカルパイン8と9が胃疾患診断・予防のターゲットになることが期待されます。
   
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Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局