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PubMedID 20723759 Journal Cell, 2010 Aug 20;142(4);590-600,
Title ATG12 conjugation to ATG3 regulates mitochondrial homeostasis and cell death.
Author Radoshevich L, Murrow L, ..., Fung C, Debnath J
東京工業大学 フロンティア研究機構  大隅良典研    中戸川万智子     2010/09/29

Atg12-Atg3がミトコンドリアのホメオスタティスや細胞死を制御する
 オートファジーに関わる二つのユビキチン様タンパク質Atg8とAtg12は、Atg7を共通のE1としつつも、 Atg3およびAtg10をそれぞれのE2とし、最終的にはAtg8はphosphatidylethanolamine(PE)と、Atg12は Atg5と結合する。
  この論文では、Atg12がAtg3のリジン残基とペプチド結合を形成し、ミトコンドリアのfusionやexpansion、ミトコンドリアを介したアポトーシスに関与することを示している。

  彼らはまず、動物細胞においてAtg12を過剰発現すると、Atg12-Atg5のバンドに加えてAtg12を含む高分子量のバンドが複数検出されることを示している。この内の二つがAtg3とのconjugate(一つはAtg12-Atg3がリン酸化されたもの)だということを後で示しているが、Atg12-Atg3を含む複数のバンドパターンが細胞の種類によって異なる点や、内在性Atg12の発現のみではほとんど検出されないレベルである点が気になる。次に彼らは、Atg12との結合に必要なAtg3のリジン残基を決定し、そのKR変異体(Atg12-Atg5の形成には影響しない)との比較によって、Atg12-Atg3がマクロオートファジーには影響しないが、ミトコンドリアのfusionやexpansion、ミトコンドリアを介したアポトーシスに関わることを示している。ただし、アポトーシスの解析以外の生理学的解析のすべてにおいて、KR変異体とベクターコントロール(Atg3-/-細胞)の結果が同じであることから、ミトコンドリアに見られるphenotypeが、本当にAtg12-Atg3形成不能によるものなのかが疑わしい(アポトーシスの解析ではベクターコントロールのデータが示されていない)。KR変異体を発現する細胞では、Bcl-2ファミリータンパク質が蓄積し、アポトーシスが起こり難くなるようである。アポトーシス誘導時、Atg5がカルパインによって切断され、Bcl-2と相互作用することによってアポトーシスを促進するという報告もあるが、これとの関連は興味深い。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局