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PubMedID 21220506 Journal J Cell Biol, 2011 Jan 10;192(1);17-27,
Title p62 targeting to the autophagosome formation site requires self-oligomerization but not LC3 binding.
Author Itakura E, Mizushima N
東京医科歯科大学 細胞生理学分野  水島昇研    板倉 英祐     2011/01/17

p62はオートファゴソーム形成部位へ集積する
最近、我々の論文が受理されたので報告させていただきます。
オートファジーによるタンパク質分解は主に非選択的ですが、一部選択的であることもわかっています。代表的な哺乳類選択的基質であるp62は LC3と結合することでオートファゴソーム内に取り込まれると考えられています。今回私達はp62の一部がLC3非依存的に小胞体上(または近傍の)オートファゴソーム形成部位に局在することを発見しました。この局在化にはp62の自己多量体形成が必要です。そこから隔離膜形成が開始され、LC3依存的にp62がオートファゴソーム内に取り込まれると考えられます。また隔離膜形成中にさらなるp62も取り込まれると思われます。その後、完成したオートファゴソームはリソソームと融合し、p62が分解されます。
オートファゴソーム形成部位へのp62の集積は、特異的基質の分解メカニズムとともに、オートファゴソームがどこで形成されるかという問題を考える上でも興味深い現象であると思われます。

余談ですけども、今回めでたくJCBにアクセプトされましたが、実は2009年秋ごろにこの論文は昨年我々が発表した哺乳類Autophagyの階層構造論文(Itakura et al., Autophagy 2010, 6, 767)と共にJCBに連報として意気揚々と投稿したのでした(あれは確かThe 5th Internatinal Symposium on Autophagy (ISA)が終わってまもなくの頃でした。ISAでポスターゴールドアワードを頂いて(日本人票をゲットしたから??)、論文もうまくいくんじゃないかと淡い期待をしてしまった時期でした。。。)。ですが階層構造論文は酵母Atg階層構造と同じなだけと思われ哺乳類Atg階層構造の価値は評価されずに、両方一緒にエディターリジェクトをくらってしまったのでした。そのため、考えを改めて、階層構造論文を先に通してから今回のp62論文を投稿しなおしたのでありました(データはその間に少し増えました)。結果、初回投稿から1年以上かかってしまいましたが、アクセプトまでこぎつけることができました。

   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局