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PubMedID 17277771 Journal Nat Cell Biol, 2007 Mar;9(3);316-23,
Title Insulin signalling to mTOR mediated by the Akt/PKB substrate PRAS40.
Author Haar EV, Lee SI, ..., Griffin TJ, Kim DH
基礎生物学研究所 分子細胞生物学研究部門  大隅 良典研    壁谷 幸子     2007/03/28

インスリンシグナルに応答したAktの基質PRAS40によるmTOR活性の負の制御
 オートファジーの抑制的なレギュレーターであるmTOR は、インスリンシグナルにより活性化される。本論文では、AKT 基質のPRAS40がmTOR キナーゼドメインに結合し、mTOR 活性を負に制御していることを報告している。インスリンシグナリングによりリン酸化されたPRAS40は、mTOR から離れ14-3-3と結合するようになり、それまで抑制されていたmTOR の活性が上昇する。さらに、そのPRAS40と14-3-3との結合は、アミノ酸飢餓により阻害されることを示した。
 これまで、複数のmTOR 複合体構成因子が同定されているもののmTOR との結合がインスリンに応じて変化するものは知られていなかった。また、mTOR がインスリンシグナル経路とアミノ酸シグナル経路のどちらにも関与しているといわれているがその詳細は明らかではない。PRAS40を通して、アミノ酸飢餓状態とインスリン刺激との連関が少し明らかになった点は、オートファジーの誘導機構を考える上で非常に重要なものと考えられるため、さらなる解析が期待される。
   
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1 東京医科歯科大学医歯学総合研究科  細胞生理学分野  水島昇 もうひとつSabatiniも 2007/03/28
PRAS40についてはSabatiniらのグループも遅ればせながらMol Cellに似た論文を発表しました(Molecular Cell, Vol 25, 903-915, 23 March 2007)。インスリン除去によってPRAS40とmTORC1の結合が増強すること、PRAS40がmTORC1を阻害することは一致していますが、いくつか異なる点もあります。彼らの主張をそのまま借りますと、
1.Rheb経路とPRAS40経路のmTORC1制御における相対的重要性について:HaarらはPRAS40がより重要であるとしてますが、Sabatiniは状況によってどちらとも言えないとしています(PRAS40の効果をTsc2欠損がovercomeできるため)。
2.HaarらはAktによるPRAS40の抑制に14-3-3が重要としていますが、Sabatiniは否定的です。
3.HaarらはPRAS40がmTOR結合因子としていますが、Sabatiniらはraptor結合因子と断定してます。
4.Haarらの報告したmTORC1-PRAS40結合に対するアミノ酸の影響をSabatiniは再現できないようです。最近SabatiniらはmTOR-raptor結合がロイシンに影響されないマイルドなLysis条件を用いているらしいです。Haarらのみたロイシンの影響は単にmTOR-raptorの結合をみていたにすぎない可能性があります。
いずれにしましても、インスリン受容体からmTORへのシグナルがTSC-Rhebだけではなさそうです。
      
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