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PubMedID 21383079 Journal J Cell Biol, 2011 Mar 7;192(5);839-53,
Title OATL1, a novel autophagosome-resident Rab33B-GAP, regulates autophagosomal maturation.
Author Itoh T, Kanno E, ..., Waguri S, Fukuda M
東北大学大学院・生命科学研究科・膜輸送機構解析分野  福田光則研    伊藤 敬     2011/03/20

オートファゴソームに局在するRab不活性化因子の同定とその機能解析
最近受理された私達の論文を紹介させて頂きます。

私達はRab33Bの結合因子としてAtg16L1を同定して以来、オートファジーにおけるRab33Bの機能解析を中心に研究を行ってきました。実際には、私達以外にもいくつかのRabがオートファジーに関わるという報告があるので、今回は見方を変えて、Rabの不活性化因子(Rab-GAP)のオートファジーへの関与を探ってみました。
Rab-GAP活性を持つことが示されているTBCドメインを持つタンパク質はヒトには41種類コードされているので、まずそれらの局在を調べ、オートファゴソームマーカーであるLC3と共局在を示すものを選びました。明確な共局在を示すものとしてTBC1D2BとTBC1D25/OATL1とが得られましたが、今回の論文ではOATL1の機能にのみ焦点を当てています。MEF細胞の飢餓により誘導されるオートファジーを指標にした解析の結果、(1) OATL1はGABARAP, GATE-16, LC3といったAtg8ホモログと直接結合し、その結合依存的にオートファゴソームに局在する。(2) 過剰発現によりオートファゴソームとリソソーム(Lamp-1陽性のオルガネラ)との融合を妨げ、オートファゴソームの成熟を阻害する。(3) 過剰発現の効果には、Atg8ホモログとの結合とGAP活性とが必要。(4) Rab33BがOATL1の基質である可能性が高い(試していないRabがより良い基質である可能性は残されている)。(5) Rab33Bの過剰発現もオートファゴソームとリソソームのとの融合を阻害する。といったことが明らかになりました。これらの結果は、Rab33BやOATL1がオートファゴソームの成熟の過程に関与していることを示唆していると考えています。
しかしながら、このRab33B-OATL1経路によるシグナル伝達がオートファゴソームの成熟の過程にどのぐらい寄与しているかはまだ疑問が残るところです。そもそも、飢餓誘導によって形成されるオートファゴソームの成熟に負の制御が必要なのか?という疑問が根本にあると思います。実際、Rab33BやOATL1のノックダウンで明確な表現型は確認できませんでした。また、Rab33BとAtg16L1の結合がオートファゴソームの成熟に関与しているかも明らかにできていないなど、消化不良な部分もあります。今後、飢餓誘導以外のオートファジーにも着目し、Rab33B-OATL1によるシグナル伝達経路の生理的な意義を明らかにしたいと考えています。
   
   本文引用



Copyright 特定領域研究「タンパク質分解による細胞・個体機能の制御」事務局